ヤクルト村上、大活躍の裏に青木宣親の“鬼指導”が 「エラーするとベンチ裏に呼び出し」

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坂道ダッシュ20本

 気の弱い若者なら萎縮するところだが、村上はそうではない。なにくそ、と努力を続けていたという。対する青木も叱るだけでなく、

「毎年1月のロサンゼルスでの自主トレに、村上も呼んでいました」

 上田氏もそのメンバーの一人だったというが、

「とにかく朝が早い。バナナを1本頬張ってから、5時半から30分以上、市内をランニングする。それが終わった後、200メートルくらいある坂道ダッシュを20本もこなすんです」

 その後ようやく朝食となるが、その時も指導が入る。

「生卵に醤油をかけるにしても“分量を考えろ”、お茶を飲む時も“ほうじ茶にしなさい”と。その後、本格的なトレーニングが始まるんです。もともと村上は身体が硬かったんですが、青木さんに柔軟運動の仕方を学び、脂汗を流しながら股割りなどをしていた」

 雨が降って練習が中止になると、喜びで思わずジャンプをしてしまうほどのキツさ。村上はそれに真面目に取り組み、2週間で8キロも体重を落としたこともあったとか。こうしたトレーニングが後の「三冠王」に結び付いたのだろう。

「巨人の岡本にそのような存在がいるのか…」

 元ヤクルト監督の広岡達朗氏は言う。

「青木の存在が村上の成長に役立ったのは間違いない。今後も現状に満足させず、ビシバシ指導すべきです。対して巨人の岡本(和真)にそのような存在がいるのか。その辺りが今の差になっていると思いますね」

 再び上田氏の話。

「村上は今の時代の子ではありますが、厳しい指導を受けても甘えた態度を見せなかった。常に己を厳しい環境に置く、頼もしい存在でしたね。23年シーズンはプレッシャーも更にきつくなると思いますが、彼なら乗り越えていけるのでは」

週刊新潮 2023年1月5・12日号掲載

ワイド特集「ウサギの耳は地獄耳」より

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