「経済対策39兆円」でも「岸田増税ラッシュ」で国民貧困化 【元内閣官房参与・京都大学大学院教授 藤井聡氏特別寄稿(抜粋)】

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39兆円の9割以上が国民に直接分配されない

 岸田内閣は財政支出39兆円という総合経済対策を決定した。岸田総理は記者会見で「39兆円のうち総額6兆円、一家族当たり4.5万円の支援を行います。こうした効果的な激変緩和措置を講ずることで、物価高から国民の皆さんの生活を守ります」と自信満々でその対策の有効性をアピールしている。

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 しかし、その経済対策の中身を一瞥すれば「皆さんの生活を守る」ことなど全くできない実態がたちどころに見て取れる。そもそも岸田総理が口にした6兆円の家計支援額をそのまま各家庭(5583万世帯)に直接分配すれば、おおよそ11万円になる。しかし岸田総理曰く、一家族当たりの支援は4.5万円だけだという。

 それ以前に、39兆円を全て各家庭の支援に使うとすれば、一家族当たり平均で70万円もの支援が可能な筈だ。それに比べれば各家庭への実際の支援額4.5万円というのは、そのたった6%程度に過ぎないのだ。

 まず、2021年度は約30兆円もの予算が未執行であった。その内の実に6.3兆円もが「不要処理」、つまり予算に計上したが結局“要らない”と判断され、使わず仕舞いで終わってしまったのだ。岸田総理はいわゆる“ドヤ顔”で「6兆円の予算で家計を支える」と言っているわけだが、何の事はない、手付かずで使わずにいた21年の6.3兆円の予算を、ようやっと22年になって使うようにすると、言っているに過ぎないのである。

岸田総理は「一時」支援の陰で「恒久」増税を狙っている

 つまり、表面的な金額こそ大きいものの、その中身は、貸し付け金や大企業優遇策のための出費であり、国民への直接支援についても21年の予算の余りを回すだけとなっており、国民の生活を本格的に支えるものとなるとは残念ながら全く思えない内容なのである。

 もちろん、その39兆円の中には国民の暮らしを「一時的」に支えるために使われるものもある。しかし岸田総理はそんな一時的対策と並行して「恒久的」な増税・国民負担増を画策しているのである。

 岸田政権下で実施されようとしている代表的な政策はまず、年金の納付期間の5年間の延長だ。これまでは60歳までだったにも拘(かか)わらず、その年齢が65歳まで引き上げられる案が検討されており、平均で約100万円もの負担増が見込まれている。

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