中田翔、年俸倍増のカゲに「原査定」 FA惨敗に通底する巨人の“病巣”とは

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落合中日では「オレ流査定」

 プロ野球巨人の中田翔内野手(33)は今オフ、2倍増の年俸3億円で今季から3年契約を結んだ。昨季は8月から不振の岡本和真内野手に代わって4番を務め、完全復活の兆しを見せたとはいえ、「24本塁打、68打点」の数字にしては昇給幅が大きかった。成績に先行してV字回復した年俸。その裏には「原査定」があったとの声がチーム内外から相次いだ。

 巨人の原辰徳監督は昨秋、契約更改が本格化する前に、自身の下でヘッドコーチを務めたことがある岡崎郁氏のYouTubeチャンネルに出演し、「ジャイアンツで給料上がるのは、大城(卓三)、(吉川)尚輝、戸郷(翔征)、高梨(雄平)……、このくらいだと思いますよ」と語った。まるで自身の意向が選手の年俸の多寡を決めると言わんばかりだった。

 元NPB球団監督が指摘する。

「かつて落合(博満)さんが中日監督時代、選手の年俸に口を出す“落合査定”があると言われた。福留(孝介)、川上(憲伸)らは低く抑えられたことで、後に(メジャー)移籍する一因になったとも。原さんは巨人でチーム編成の権利まで持たされた全権監督。その意見が選手年俸に反映されていても不思議ではない」

 中田は日本ハムに在籍していた2021年のシーズン中に同僚への暴力事件が発覚し、球団から無期限の出場停止処分を受けた。ほどなく巨人に無償トレードで移籍。原監督が日本ハムの栗山英樹監督(当時)とのホットラインを生かし、救いの手を差し伸べた形となった。

 しかし、中田は同年、巨人でも34試合で3本塁打、7打点と振るわなかった。しかも、中田の加入と時を同じくし、優勝を争っていた巨人は急失速した。

「中田は事件の禊ぎが済まないまま移籍し、なし崩し的に1軍でプレーしたことで、獲得を主導した原監督に他の(巨人)選手は不信感を募らせた。原監督が中田をトレードで取ったことがV逸の最大の要因だった」(巨人担当記者)

 実際、中田はオフの契約更改交渉では野球協約が定める減額制限を超える1億9000万円減の1億5000万円でサインするしかなかった。この時点ではトレードは完全に失敗だった。

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