森保ジャパン 次の「10番」はモロッコ代表にヒント 注目は3つの国籍を持つ17歳と18歳の2選手
CL経験の有無
PK戦による敗因を指摘してもあまり意味はないのでやめておきたい。そして日本がグループリーグを首位で突破できたのは、森保監督の采配も含めて選手の奮闘があったことは言うまでもない。さらに指摘したいのは、日本の主力選手のほとんどが海外リーグで結果を出していたことだった。
カタールW杯で、いわゆる“海外組”は19人だった。これにJリーグへ復帰した左SB長友佑都、右SB酒井宏樹、GK権田修一の“帰国組”の3人を加えると、海外リーグを経験した選手は22人にもなる。前回、ロシアW杯の15人から7人も増加した。
そして、これが最も重要なこととして、「所属クラブでレギュラーとして常時、試合に出られているか」ということと、「欧州5大リーグでCL(チャンピオンズリーグ)やEL(ヨーロッパリーグ)に出られるようなクラブに所属しているか」ということである。
まずレギュラーかどうかという点では、ロシアW杯ではMF長谷部誠(フランクフルト)、MF香川真司(ドルトムント)、FW大迫勇也(ケルンからブレーメンへ移籍)、酒井宏樹(マルセイユ)、CB吉田麻也(サウサンプトン)の5人しかいなかった。
さらに4年前のブラジルW杯で主力だったMF本田圭佑はパチューカへ、長友はガラタサライへ移籍し、出場機会を失っていた。そして、CLに出場していたのは香川だけだった。
モロッコ躍進の理由
ところがカタールW杯では、キャプテンの吉田(シャルケ)をはじめ13人もの選手が所属チームで主力として常時、試合に出場。
そしてCLには守田英正(スポルティング)、鎌田大地(フランクフルト)、前田大然(セルティック)、南野拓実(モナコ)の4人が、ELには冨安健洋(アーセナル)、堂安律(フライブルク)、久保建英(レアル・ソシエダ)の3人に出場機会がある。
鎌田にいたっては、昨シーズンのEL優勝の立役者となった(その割にはW杯のパフォーマンスは低調で、ドイツ戦やスペイン戦では守備意識の低さを露呈した)。
日本の躍進は、選手が着実に「個の力」を欧州リーグで伸ばしたからに他ならない。それは同じベスト16でも、ライバル韓国との近年の試合結果と海外組の割合を比較すれば一目瞭然である。とはいえ、目標である「ベスト8」には到達できなかった。
そのために必要なことは、アフリカ・アラブ勢として初のベスト4に進出したモロッコにヒントがある。
右SBのアシュラフ・ハキミはレアル・マドリード育ちで現在はパリSGに所属、左SBヌサイル・マズラウィはアヤックス育ちで現在はバイエルン・ミュンヘンに所属し、それぞれがレギュラーとして活躍している。
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