HIMARSでロシア軍の徴集兵400人死亡 背景に「兵士のパーティー情報漏れ」というお粗末
本当の原因はパーティー情報
複数のメディアが報じた記事を精読することにより、次第に事態の全貌が明らかになってきた。やはりと言うべきか、ロシア軍の実状は相当に酷いことが分かる。
ところが、である。まだまだ大手メディアが報じていない驚愕の事実があるのだ。HIMARSの狙い撃ちが成功した理由について、もっと“根本的な原因”がネット上で拡散している。
「専門学校は軍の宿舎として使われており、徴集兵は新年を祝うパーティーを開いていたというのです。そこにミサイルが直撃し、多数の死者が出たという情報がネット上で拡散しました。出所はウクライナやロシアのSNSなどで、パーティー中と思われる写真も投稿されています。日本でも一部のネットメディアが記事にし、ロシアに詳しい専門家もある程度の信憑性を認め、その内容をネット上で紹介しました」(同・記者)
軍事ジャーナリストも「既に昨年末の時点で、『宿舎で新年パーティーを開く予定』とSNSなどに投稿していたようです」と呆れ返る。
「宿舎は最前線から20〜30キロしか離れていません。HIMARSどころか榴弾砲でさえ射程距離は20〜40キロです。こんな危険な場所でパーティーを開くこと事態があり得ない。それがパーティーの情報を事前にSNSで拡散させたというのですから、何をか言わんやです。普通の軍隊なら考えられません」
アメリカ軍の休息ルール
ロシア軍に限らず最前線の近くに駐留する部隊は、手元に武器や弾薬を置きたがる傾向があるという。
「そこにミサイルが直撃したら、たとえアメリカ軍でもかなりの被害が出るのは避けられません。だからこそ部隊の現在地は機密情報として扱われるのです。これは軍事作戦における“イロハのイ”ですが、被害を受けたロシア軍の部隊は基本的なことさえできていなかったことになります」(同・軍事ジャーナリスト)
兵士や士官も人間だから、息抜きが必要なのは当然だろう。だが、それを最前線で行うというのも軍隊の常識では考えられないという。
「アメリカ軍はベトナム戦争ではタイで、湾岸戦争ではカタールで兵士を休ませました。一定の期間が経つと、本国にも一時帰国させます。戦地、近隣国での休息、本国への一時帰国、これをローテーションするのです。ロシア軍の場合、モスクワ近くの部隊なら新年のパーティーを許可してもいいでしょう。しかし、最前線に駐留するマキイウカの部隊には、臨戦態勢を取らせるべきでした」(同・軍事ジャーナリスト)
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