HIMARSでロシア軍の徴集兵400人死亡 背景に「兵士のパーティー情報漏れ」というお粗末
携帯電話が原因!?
なぜ400人もの戦死者が出たのか──CNNはHIMARSのロケットが弾薬保管庫を直撃した可能性に触れた。
「興味深いことに、弾薬保管庫の情報も親ロシア派の軍事ブロガーがネット上に書き込んだようです。親ロ派が公然と軍を批判したのですから、これも非常に珍しいと言っていいでしょう。CNNによると、ブロガーは《大量の弾薬の保管庫の隣に宿所を与えられていたようだ》と部隊の安全管理が杜撰だったことを明らかにしました。徴集兵が中心の部隊だと、防御の意識さえ希薄なのかもしれません」(同・記者)
さらに珍しいことが続く。ロシア国防省が「自軍兵士のミス」を認めたのだ。これに着目したのがイギリスの公共放送BBCだ。
「BBC NEWS JAPAN」は1月4日、「ウクライナ東部でミサイル砲撃死ロシア兵は89人に、兵の携帯電話利用が原因とロシア軍」との記事を配信した。
「ロシア軍は兵士たちに、“携帯電話の使用禁止”を命じていたそうです。ところが、専門学校に集まった徴集兵は命令を破り、携帯電話を使った。それをウクライナ軍が探知して場所を割り出し、HIMARSによる狙い撃ちに成功した──これがロシア国防省の説明でした」(同・記者)
規律なき徴集兵
だが、ロシア国防省の説明は、大損害を出した責任を末端の兵士に押し付けようとした可能性もあるという。
「BBCはその点に配慮し、《ロシアのコメンテーターや政治家の間には、軍の失態を批判する声も上がっている》と報じています。国防省の発表をそのまま報じると、ミスリードになってしまう可能性があり、それを防ごうとしたのでしょう」(同・記者)
ただし、ここで疑問が浮かぶ。「兵士が携帯電話を使うと部隊の位置が特定される」というのは本当なのだろうか。
疑問に思った読者も少なくなかったようだ。BBCは翌5日、「【解説】ロシア兵の携帯電話使用で位置を特定し得たのか ウクライナの砲撃」との続報を配信した。
この解説記事でBBCは、《ウクライナとロシアの双方の軍が共に、携帯電話の位置を追跡する能力を持っている》と伝えた。
「例えばウクライナ軍の場合、ロシアの将軍が使っていた携帯電話を割り出し、位置を特定して殺害に成功したそうです。BBCは『機密保持のため、兵士が携帯電話を使うことに制限を課すのは当然』とした上で、徴集兵が中心の部隊で携帯電話が普通に使われていたとしたら、著しく規律が緩んでいる可能性があると指摘しました」(同・記者)
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