職場の派遣女子に熱を上げたら「地獄でしたね」 42歳不倫夫が1日で味わった“2つの修羅場”

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「声が聞きたい」

 出会いは身近にあった。優也さんの職場にやってきた派遣の絵梨さんだ。一回り年下の絵梨さんを見たとき、彼は中学生のとき好きだった担任教師を思い出したという。雰囲気が似ていた。そしてなにより彼女の声に魅了された。

「少し高めなんですが、キンキン響く声ではなく、ふっくらと柔らかく、何もかも包み込むような声。彼女の声を聞いて、自分が案外、声フェチなんだと気づきました。中学時代の担任の先生が好きだったのも声から入ったと思い出したんです」

 こんなことをいうと不埒ですがと断って、彼は当時の本音を白状した。彼女の声を聞いたとき、「この安定感のある声が乱れるところが聞きたいと思ってしまった」のだそう。彼の欲望の根源に、彼女の声が突き刺さったのだろう。

 無意識のうちに彼女に親切になった。徐々に近づき、食事に誘った。半年後、彼は思いを遂げることができた。彼女のその時の声は、優也さんの欲望の火に油を注ぐようなものだった。

「彼女は高校時代に年の離れた兄を亡くしていると泣きました。『優也さんを見ていると兄を思い出すの。もちろん兄とは違うし、兄よりずっと素敵だけど、どこか雰囲気が似ているというか』と言ってくれました。今思えば、お互い相手に幻想を抱いていたのかもしれません」

妻への”ねじれた怒り”

 幻想を抱いていたからこそ、恋が燃え上がってしまった。「もっと一緒にいたい」と彼女にささやかれて、優也さんは彼女のひとり暮らしの部屋に入り浸るようになった。最初は残業だつきあいだと言い訳をしたが、ずっと続けば妻の美希子さんが何かを感じないはずがない。

「それでもしっかり者の美希子は、精神的にブレることもなく生活しているように見えました。僕はそれまでほぼ全額、妻に給料を渡していたんですが、絵梨との付き合いに使いたくていきなり減らしました。会社の業績が悪くなって給料が減ったと言って。美希子はもちろん不審そうでしたが『大丈夫? このところ何かヘンよ。体調が悪いなら無理しないで』と。本当は僕の言動がおかしいと浮気を疑っていたはずです。でもそれを匂わせない。僕としてはそこが妙にイラついたんです。怪しいなら怪しい、浮気してるんでしょと責められたほうが気が楽だった。いい子ぶってる、いい母ぶってると、美希子に不当な怒りを持つようになったんです」

 まったくもって論外な言い分なのだが、引け目があるがゆえのねじれた怒りなのだろう。不倫をしていながら、そこを突いてこない妻に怒りをもつ男性は少なからずいる。そのころ彼は週の半分は絵梨さんの部屋に泊まっていた。徐々に荷物も増えていった。

「1年くらいそんな生活をしていましたね。ある晩、絵梨が熱を出して寝込んでいたので、おかゆを作ったりしながら一緒にいたら、いきなり妻がやってきた。チャイムが鳴ったので、ドアホンで見たら妻が立っていた。あれほど“いい子”ぶっていた妻が、ドアの外で絵梨と僕の名前を呼びながら『あんたたち、ふざけるんじゃないわよ』と怒鳴っている。どうしたらいいのと絵梨は怯えていました。いないふりをしていたけど、美希子がバンバンドアを叩き始めた。別の部屋の人が声をかけているのも聞こえてくる。妻がこんな行動に出るとは思わなかったのでビビりましたね」

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