小椋佳が最愛の妻と別居し“週末婚”を選んだ理由 タバコは1日2箱、毎日コーラを飲む「不健康人生観」
ポリコレが溢れ、“正しいこと”が跋扈(ばっこ)する令和の世。ゆえに健康こそ正義となるわけだが……。そんな風潮を全く意に介さずタバコとコーラを愛し続ける小椋佳、78歳。数多の名曲を生み出したシンガーソングライターが、ラスト・ツアー終幕前に人生観を明かす。
***
これはね、死に装束なんです。8年前、古希を迎えたこともあって、「生前葬コンサート」を行いました。皆さんに香典がわりにチケット代を頂き、お返しに100曲歌い上げるという私なりのお別れ会です。それ以来、この格好で過ごしているのですが、どういうわけか一向にお迎えが来ないんだな。
〈そう言って笑うのは「俺たちの旅」や「愛燦燦」、「シクラメンのかほり」など、数々の名曲を生み出し、自ら歌い上げた小椋佳。いまは、人生最後の全国コンサート・ツアー「余生、もういいかい」の真っ只中だ。2023年1月18日の最終公演をもって大規模なツアーは終わりとし、これまでの歌手活動に一区切りをつける希代のシンガーソングライターは、白い作務衣に雪駄姿で、自らの引き際について語った。〉
セブンスターを1日40本
今回を最後にする理由? そりゃ、もう年だからです。昔は、東京―大阪間で一曲作ることができました。新幹線に乗って、行きに歌詞を書き、帰りに口ずさんでレコーダーに吹き込む。これで一曲できあがりです。今は、3日間うなっていてもろくな言葉が浮かんでこない。
声もだんだんと出なくなってきました。若い頃は、何でも思い通りに歌うことができたのに、いまは自分がイメージした声と、実際に歌ったときの声にギャップを感じるんです。年を重ねると、歌声に味が出るなんて言いますけど、あれはうそ。単なる衰えです。気力、体力共に落ち込んでいて、2時間コンサートをすると、クタクタに疲れ果ててしまう。だから、もういいかなって。
この年になると、何をするにもおっくうです。私の両足はいま、血がほとんど通っていません。筋肉もすっかり落ちてしまい、最寄り駅まで歩こうと思っても、途中で息が上がって動けなくなる。ゴルフに行っても、ボールまで歩いていくのがしんどい。カートでフェアウェーに乗り入れできるところじゃないと回れません。私のからだはもうボロボロです。
ただ、長生きしたいとか、健康になりたいとかは、ちっとも思わない。今でもセブンスターは1日40本、コカ・コーラは1.5リットル×6本を1週間で飲み切っています。ゼロカロリーやトクホのものはおいしくない。やっぱりオリジナルにかぎる。タバコもコカ・コーラも、もう50年以上の付き合いになりますから、腐れ縁ですね。
とりわけ、タバコには恩があります。私は、タバコに救われた人間なんですよ。
[1/5ページ]