犬を飼うと、猫にはない「健康長寿」効果が! 目を合わせて遊ぶと「幸せホルモン」が3.5倍に…「介護」「心血管疾患死」リスクも低減
「愛情ホルモン」が3.5倍に
その実験結果は米国の科学誌「サイエンス」に掲載された。
具体的には飼い主と犬が会議室で30分間交流した後に、両者がよく見つめ合ったグループと、そうでもなかったグループの、交流前後の尿中の「オキシトシン」というホルモンの濃度を比較。すると、前者の飼い主は3.5倍に上昇したものの、後者では変化は見られなかった。
オキシトシンは別名「愛情ホルモン」、あるいは「絆形成ホルモン」とも呼ばれる。すなわち、犬と戯れることによって、飼い主に安心や信頼がもたらされ、「心の健康度」が上がったと考えられるのだ。
犬にできて猫にできないこと
「遺伝子的に犬に近いオオカミに関しても同様の実験を行いました。ちなみに、ごく小さい時から人の周りにおくことで、オオカミでもどうにか飼いならすことができます。さて、オオカミに関する実験結果はというと、犬の場合と違ってオキシトシン濃度に変化はなく、そもそもオオカミは飼い主とじゃれはしても、顔を見つめることはありませんでした。このことから分かるように、普段身近な存在であるため気が付きにくいのですが、犬は極めて特殊な動物なのです」(同)
それは、犬と同じく私たちの身近にいる猫と比べても指摘できることだという。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2017年から猫の飼育数が犬を逆転し、犬は“劣勢”に立たされているという。しかし、
「ペットが、人間が指さした方向にしっかりと反応できるのは当たり前というイメージがあるかもしれません。ところが、実は同じペットでも、犬にはできても基本的に猫を含めた他の動物にこれはできません」(同)
なるほど、犬は「単なる一ペット」ではなさそうだ。
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