「阪急タイガース」加速で“岡田長期政権”も 阪神球団の反主流派は「粛正」に戦々恐々
球団の「分断」阻止する意図も?
さらに、球団レベルにまで分析を掘り下げる。
「矢野(燿大前監督)さんの後任を選ぶ際、球団は平田(勝男)2軍監督の内部昇格案を固めた。しかし、これを差し戻したのが岡田さんと懇意だった角会長のようだ。球団は阪急に、現場のトップの人事で一敗地にまみれる屈辱を味わった。球団の一部では阪急への敵愾心が高まっているだけに、阪急サイドは二頭体制にすることで、内部の『分断』を阻止する意図もあったのではないか」(番記者)
しかし、どう表面上を取り繕っても「阪急優位」の流れは止められそうにない。今後は球団社長など、球団内の人事にも影響力を行使してくることが予想される。
「新型コロナウイルス集団感染への球団の対応のまずさで、一昨年には球団社長が交代した。ただし、今回のオーナー交代と同時期に一気に行うと、阪急色が強くなりすぎる。しばらく時間を置いてから社長などを阪急出身者に代える可能性はある。球団社長以外では、“反岡田”と受け取られるような『平田昇格案』をまとめた谷本(修)球団オーナー代行らが今後、球団を追われることになるかもしれない」(同)
「宝塚は阪急」、「野球は阪神」の構図は……
一方で岡田政権には追い風が吹いている。阪神育ちながら角会長との関係性から現在は阪急が後ろ盾という“ねじれ”が起きている。
「岡田監督は前回(1次政権時代)、フロントとの対立が辞任の一因になった。本人は就任会見で『年齢的にもそう長くはできない』と言ったが、今の投打にバランスが取れた戦力なら低迷はしづらい。角会長の意向を受けた杉山新オーナーが就任したことで、5年など長期政権になる可能性はある」(元NPB球団監督)
次期監督の後任候補としては、今岡真訪打撃コーチのほか、閣外で藤川球児、鳥谷敬両氏の阪神OBが控える。ただし、いずれも監督経験はないだけに、一本立ちまで岡田監督がつなぐ時間が長くなることは十分にあり得る。
既に阪急阪神HDで新卒は一括採用している。将来的には同HD採用組から球団入りするケースが出てくる。ただ、完全な融和までは相当な時間を要し、阪急、阪神の出身者が混在してくれば、派閥争いも起きるだろう。
「いずれ球団社長、球団本部長などの要職も阪急出身者が務めるようになるかもしれない。そうなると頭脳が阪急で、手足となって働くのは阪神という構図となる。当面は阪神出身者の協力なくしては立ちゆかないが、そのうち一括採用組が入ってくる。垣根がなくなるまでには数十年かかるが、それまでに徐々に阪急色が強まっていくはず」(番記者)
かつて角会長は自前で抱えるエンターテインメントの2本柱をこう表現した。「野球は阪神、宝塚は阪急」。
野球も阪急が主導する時代の到来は、そう遠くないのかもしれない。
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