浮気を正当化しようとした40歳夫の困惑…妻がついにブチ切れた彼の“特異気質”はモラハラなのか

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娘の受験をめぐり「なんとなく、薄ら寒い感じ」

 なのになぜ、今になって夏音さんは娘を連れて家を出たのか。雄介さんに思い当たる節がないはずはない。

「最初にぶつかったのは、娘の小学校受験ですね。僕はせめて中学になるまで待てと言ったんですが、夏音は小学校から私立に入れたいと。自分も小学校から高校まで私立の女子校だったんですよ、だから男の子ならともかく女の子は私立へと言い張る。いや、女の子は私立へというのはなんかおかしい、娘の性格や特徴を考えても通学に時間のかからない地元の小学校で、のんびり楽しく過ごさせたかった。だから僕、妻とはとことん話し合うつもりでした。でも妻はその話し合いに真剣に取り組んでくれなかった」

 合格するとは限らないと思っていたのだが、妻の叱咤激励がきいたのか娘は合格してしまった。親の面接では「娘には自由に生きてもらいたい」と破天荒なことを言ったつもりだったのだが、それがかえって学校には受けがよかったようだ。雄介さんは合格したことに少しがっかりしたが、夏音さんは大喜びだった。

「そのころから少しずつ、夏音は実母と関係が好転していったようです。あとから知ったんですが、夏音は実母が希望した小学校には落ち、別の私立へ行ったために母との葛藤が始まったらしいです。娘が受かったのは、夏音の実母が希望していたところ。夏音は娘を使ってリベンジを果たしたといってもいいでしょうね。なんだか怖いなと思いました」

 妻子から心が離れることはなかったが、「なんとなく、薄ら寒い感じ」がしたと雄介さんは振り返る。それでも家族関係は良好だったと思うと彼は言う。

「いつでも僕が単独で何かを決めることなんてなかった。旅行するとか週末どこかに行くとか、みんな妻と娘の希望を優先させていました。まずは話し合って決める。それがうちのやり方だと思っていたから」

 妻に秘密をもつつもりもなかった。ところがあるときから、雄介さんは会社の中枢に抜擢され、仕事上、多くの秘密を抱えることになった。それまでは家庭内では仕事の話もしていたのだが、それ以降、彼はピタリと仕事の話をしなくなった。

「機密事項が多い部署に異動したから、仕事の話はしないと妻には言いました。彼女だって会社員、わかったと言ったけど、何か不審なものを感じたんでしょうか。彼女のほうも仕事の話はしなくなりました。さらに新しい部署で初めて、僕はストレスというものを意識するようになったんです」

 仲間内でわいわい一緒に目標に向かって仕事をしていくのが好きだったのに、急に重要な案件が増えて経営トップたちと話し合う日々。中でも「若手」の雄介さんには、さまざまな雑務がのしかかってきた。

「そんなとき仲良くしていた同期が心配してくれて、久々に飲みに行ったんです。少し愚痴を吐き出してすっきりしました。そのうちのひとりがキャバクラに行こうと言い出した。僕もノリで行ってしまった」

 行った先は熟女キャバクラと銘打たれていた。中に入ると、「熟女とはいえ、みんな30代。若かったから、これで熟女と言われてしまうのかと驚いた」と彼は言う。

妹の友人と偶然の再会

 席についてくれた女性たちも30代前半に見えた。

「ノリがよくて楽しかったですね。そのうちのひとりが僕の横に座って、『もしかして……雄介さん?』と突然、言ったんです。なんと妹の友人だった。僕、3歳違いの妹がいるんですが、故郷で妹と仲のよかった澄子ちゃんだったんです。僕は大学で上京、3年後に妹も上京してきたのですが、澄子ちゃんも東京の専門学校に行くことになった。だからその後も何度か妹と3人で会ったんですよね。どうしてキャバクラにいるのときいたら、『結婚したんだけど夫がろくでなしで借金抱えて離婚、今はシンママなのよ』って。妹は故郷に戻って結婚したんですが、『私もそうすればよかった。東京で暮らしていたいと思ったら、ヘンな男にひっかかっちゃって』としみじみ言っていました」

 とはいえ、澄子さんは店の人気者だったようで、子どものために必死に働いてるんだ、と笑顔を向けた。雄介さんの男心をくすぐる笑顔だったのだろう。

「それから同郷のよしみということで、ときどき店をひとりで訪れるようになりました。1回の飲み代はそれほど高くはないけど、澄子ちゃんにはいつも余分にチップを渡したりしていましたね」

 一度、大雨が降った日に澄子さんの仕事が終わるのを待って送っていったことがある。彼自身は「妹と同じような気持ち」だったのだが、澄子さんのほうは違っていたようだ。

「当時、澄子ちゃんの息子は10歳くらいだったかなあ。夜は近所の飲み屋のママに預かってもらうこともあったようです。その日もそうだった。とりあえず部屋の鍵を開けて中に入ったんですが、もう遅かったので早く息子さんを迎えに行ったほうがいいよと言ったら、澄子ちゃんにいきなり股間をつかまれたんです(笑)。『お願い』と言われて、なぜか僕、反応してしまった。横になる時間もないまま、玄関先でそんな関係になって。澄子ちゃんは必死に歯を食いしばっていたけど、それでも声が漏れて、それがたまらなく色っぽかった。終わると彼女は、『早く行って』と僕を追い出しながら、自分も走って子どもを迎えに行っていました。彼女のストレス発散に使われたのかなと思ったけど、これはこれで希な体験というか……」

 薄暗い一室の玄関先での情事は、ある意味では淫靡な魅力に満ちている。彼は自分がその状況にひどく興奮したと話してくれた。健康的でオープンな性行為より、淫靡なほうを好む人は男女問わずいるだろう。

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