「鬼滅の刃」「進撃の巨人」「呪術廻戦」新シーズン放送開始! 2023年「日本アニメ」は“第2の黄金期”を迎える

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サウジ皇太子も日本アニメの大ファン

 もうひとつの理由が「世代交代」だ。90年代から00年代にシーンの中心にいた海外のビジネスマンの多くは、そもそも日本アニメに触れる機会が少なかった。仮に日本アニメ関連の企画を上げたとしても“現場レベルでOK”となっても、役職クラスに届いた時点で覆ることもしばしばあったという。

 しかし現在は、子供の頃、日本アニメに親しんだ世代がビジネスシーンの中心を占めつつある。そして彼らは先頭に立って日本アニメ関連のビジネスに関わろうとしている。「カウボーイビバップ」や「ONE PIECE」「僕のヒーローアカデミア」……。近年、日本のアニメや漫画の実写映画の製作がハリウッドなどで活発になっている背景には、こういった事情がある。

 実はこの現象は、欧米に限ったことではない。いまや日本アニメの人気はアフリカや中東、南米にまで及び、アニメ関連の消費も旺盛だ。なかでも最近、注目を集めているのがサウジアラビアである。日本とのアニメ合作や大型のアニメイベントの共催などに積極的に取り組んでおり、その理由として、同国のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が“日本アニメやゲームの熱心なファンだから”と伝えられる。まだ37歳の皇太子は、まさに10代や20代の頃に日本アニメなどのコンテンツに親しんだ世代に該当する。

「ライセンス・ビジネス」というフロンティア

 日本アニメのワールドワイドな快進撃が続く一方で、“そろそろ市場の拡大も限界では?”といった声も聞かれる。制作現場での人材確保・育成の問題や、すでに多くの作品が世界各国・地域に販売されている現状から、制作本数も新たな販売先もこれ以上は増やせないという理屈だ。

 しかし成長の余地は十分に残されていると考える。アニメビジネスの柱は映像配信だけでなく、作品から派生するライセンス展開にある。実際、日本ではキャラクターグッズや音楽、ステージ、展覧会、プロモーションタイアップなど様々な形でアニメ市場は膨張を続けている。

 確かに映像作品としての日本アニメは世界各国に行き渡ったかもしれないが、ライセンス展開ビジネスは発展途上。“伸びしろ”はまだまだ残されていると考えたほうがいいだろう。

 日本側から新たな仕掛けを試みる動きが出てきている点も興味深い。アニメ制作会社「アニプレックス」は12月、「鬼滅の刃」のワールド上映ツアーを発表。テレビシリーズのなかから評判の良かったエピソードと今春放送開始の新テレビシリーズ第1話をピックアップし、23年2月に世界各国で劇場上映するのだ。

 それだけでなく、ロサンゼルスやパリ、メキシコシティ、ソウル、台北に声優や制作スタッフが足を運んで舞台挨拶もするという。アニメ鑑賞という体験に新たな魅力を付与し、さらなるファンの獲得、市場の創出を目指す試みだ。

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