日銀新総裁は「初の女性」という可能性も 岸田首相が“介入”の姿勢に打って出た理由
岸田首相の介入
「日銀総裁人事は歴史的に財務省と日銀出身者のタスキ掛けで、順番的には次期総裁は日銀出身ということになります。これまでその有力候補の最右翼とされてきたのが、現在副総裁を務める雨宮正佳氏。そして、2018年まで副総裁を務めた中曽宏大和総研理事長です」
と、政治部デスク。
“これまで”とデスクが言及したのにはワケがある。
「岸田首相がこの人事への関与に乗り気になっています。これまでは財務省任せだったのですが、今回のサプライズを受け、総裁人事への注目度が高まるだろうという見立てがある様子です。そこで指導力を発揮して求心力を高めたいという狙いがあるようです」(同)
実際、人選にも影響が出ているようで、
「岸田首相は明確な指示をするには至っておらず、まだふんわりとした内容のようなのですが、そこに雨宮、中曽の両氏は入っていません。個人的には依然として最有力候補だと見ていますが、首相はそう考えていないようです。女性などこれまで名前が上がっていない面々を想定しているとのことです」(同)
過去31代を数える日銀総裁に女性が選ばれたことはない。 話題性は十分だろう。仮にそうなれば「ガラスの天井が破られた」などとメディアが盛り上がる可能性は高い。
タスキ掛けの慣例を覆すか
「ちなみに今回の下馬評では副総裁候補として、翁百合日本総研理事長の名前があがってきました。対抗馬には日銀初の女性支店長、初の理事となった清水季子氏、日銀政策委員会委員の中川順子氏の名前もありましたが」(先の記者)
総裁人事に関しては、岸田首相の頭の中には「タスキ掛け」の慣例を覆してでも良い人材を配置すべきとの思いがあるようだ。
「首相時代の麻生太郎氏の秘書官だった浅川雅嗣氏は候補の1人です。財務省時代に財務官を務め、現在はアジア開発銀行総裁に就いています。タスキ掛けが壊れても良いということは、逆にいえば日銀出身者には適任者がいないと首相が捉えていることを意味しているように感じますね」(同)
世界的な注目度と激務などの割に、年収3500万円ほどということから躊躇する人も少なくないという総裁ポスト。岸田流のサプライズが実行されたとして、マーケットへのプラス効果はあるのだろうか。