妻に“赤ちゃん言葉”で甘えたせいで夫婦関係に深い亀裂が…45歳夫が不倫相手を「ソウルメイト」と呼ぶ衝撃の理由

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 趣味の範疇である「嗜好」を超え、人が心のより深いところで求める性の方向性を、ライターの亀山早苗氏は「性的志向」と表現する。

 男女問題を30年近く取材し『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作がある亀山氏は、今回、夫の「性的志向」に関する悩みを抱える夫婦を取材した。配偶者や恋人に自身の性癖を伝えた経験の有無を調べたアンケートでは、男性の27.8%が、女性では33.6%が「ある」と答えている(2022年1月13日「月刊TENGA」43号より)。男性のほうが打ち明けにくい傾向はあるようだ。

 だが「志向」をそもそも打ち明けるのが正解なのか、パートナーが理解できるものなのだろうか。このレポートは、そんな問いを突きつける。

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 人にはいろいろな趣味嗜好、そして性的志向がある。たとえパートナーであっても、わざわざ明らかにする必要もないのかもしれない。ただ、それがエスカレートしたりパートナーにバレたりしたとき、本人も相手もどうすればいいのかわからず、困惑するしかないこともあるだろう。

 20年来の知り合いである大淵宣代さん(49歳・仮名=以下同)から連絡があったのは半年前。4歳年下の夫である彰良さんについて相談に乗ってほしいというのだ。早速会って話を聞いた。バリキャリの宣代さんだから、いつもは要領よく端的に話を進めていくのだが、このときばかりは歯切れが悪い。大学卒業と同時にデキ婚をして、娘が3歳のときに離婚。以来、女手ひとつで子育てもしてきた宣代さんは、娘が20歳のときに彰良さんと再婚した。彰良さんは初婚だったが、仕事で知り合った宣代さんの「かっこよさ」に惚れたと結婚パーティのときにうれしそうに話していたものだった。

 年下の彰良さんが宣代さんに甘えているのかと思いきや、彰良さんは武道に長けており、心身ともにマッチョだそう。

「威張るようなところはないけど、ちょっとそそっかしい私と違って、彼はいつでもどっしり構えている。それなのに私が困ったときは素早い判断をしてくれる。つまらない例だけど、冷蔵庫が壊れて水が漏れ出し、あたふたしているところに彼が来たことがあるの。彼はまず冷蔵庫のものをここに出して、冷凍はこっちとテキパキ自ら動いて、その間にネットで冷蔵庫を注文し、翌朝には冷蔵庫が来ていた。そそっかしいくせに仕事以外では判断力が鈍る私と違って、彼は安定感があるのよ。彼が任せとけと言ったら、本当に簡単にことが解決している」

 そんな全幅の信頼を置いている彼のことについて相談があるとは、いったい何なのか。そして歯切れが悪い彼女の真意はどこにあるのかと考えながら言葉を待った。

「言いづらいんだけどね、先日、彼といちゃいちゃしていたら、彼が目をつぶって私の胸にしゃぶりついてきて『もっと抱っこしてえー、ぎゅうっとしてえ』と言ったの」

 思わず吹き出しそうになったが、彼女の表情は硬い。問題はそのあとだった。

「それだけでも私はびっくりしたんだけど、次の瞬間、彼が急にパッと目を開けて私を突き飛ばしたのよ。そのまま部屋を出て行ってしまった。いったい、何があったのかわからなかった」

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