ベネッセを厚遇する東京都に、都議からも「行政と企業の癒着が問われる事態」の声

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「とても悪質」

 ベネッセは都を足掛かりに、大学入試など全国で導入が予定されるスピーキングテストに触手を伸ばしているとされ、実現すれば同社の学習塾や問題集の売り上げ増は確実。日本の英語教育をかような企業に任せていいのか議論もあろうが、やはりというべきか。直近でもベネッセは、自社教材でトラブルを起こしていた。

 突然、同社が12月に2024年末でサービスを終えるとしたのは、子供向け英語教材「Worldwide Kids」だ。

「9月末に勧誘を受けて約22万円を一括で払い入会したのに、だまされた思いです。入会して2カ月で『サービス終了』だなんて、消費者をバカにしています」

 そう憤るのは、3歳の娘を持つ30代の母親だ。

「質の高い教材のみならず、娘が8歳になる会員期間の終了までネイティブ講師のレッスンなどさまざまなサービスが受けられると説明していたのに、べネッセは肝心の突然終了することへのおわびはなく、不安を抱かせたことだけ謝罪するのみ。終了発表直前の11月末まで勧誘されていた方もいたそうで、悪質だと思います」

ベネッセの回答は

 一連の指摘を当のベネッセに質すと、

「(テストの)事業主体は都になりますので、弊社はお答えする立場にございません。(公教育との癒着については)そのような事実はございません」

 と話し、英語教材の件は、

「一部サービスが24年に終了する説明だけが強調され、ご受講する皆さまに『教材が届かなくなるのでは』『電子玩具の保証などが無くなるのでは』などご不安を抱かせる形になってしまいましたこと、心よりおわび申し上げます」

 かたや都教委はといえば、

「テストについての質問は、ホームページのQ&Aコーナーをご参照ください」

 と、木で鼻をくくったような答えだった。必死に机に向かう受験生や、子を持つ親たちが食い物にされたままでいいのか。今こそ「都民ファースト」を唱える小池知事の手腕が問われよう。

週刊新潮 2022年12月29日号掲載

ワイド特集「クリスマスキャロルが流れる頃」より

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