ビートたけし“最後の映画”がお蔵入りになっていた 契約を巡りKADOKAWAと対立し、現在も公開されず【スクープその後】
“オイラにも寄越せ”
ここ数年トラブル続きのビートたけし(75)。週刊新潮は、監督人生の集大成ともいえる映画「首」を撮影したにもかかわらず、事実上の“お蔵入り”となっている事実を報じた。その後、取材を進めると、KODOKAWA内部でビートたけしを無視して編集作業を進めていたとの情報も。今に至るまで「首」は公開される気配がないが、改めて騒動について振り返る。
(以下、「週刊新潮」2022年8月11・18日号の記事を再編集。日付や年齢、肩書などは当時のまま)
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たけしの小説を原作に西島秀俊が主演を務めた「首」は、昨年10月にクランクアップし、編集も9割近く終わっていたという。ところが、その時点で作業はストップ。それから10カ月がたつ現在も実質的に“お蔵入り”状態になっているのだ。
「端的に言えば、たけしさんとうちが、契約を巡ってもめてしまったんです」
と明かすのは、KADOKAWA関係者だ。
「巨匠の作品ですし、時代劇ということもあって、こちらも必死に製作費を集めましたが、なかなか金額がままならなかった。そこで、うちはネットフリックスに話を持ち掛け、動画配信の権利を買ってもらうことで、それを賄おうと考えたのです」
映画はそもそも3億円強をKADOKAWAはじめ数社が出資することになっており、プラスしてネットフリックスから10億円ほどを得ようとしたという。
「これを知って、どうもたけしさんが“オイラにも寄越せ”となってしまったようなのです。10億円の15%に当たる、1億5千万円をほのめかしてきた、と。ただ、それはいわれのない要求ですから、こちらは難色を示した。で、たけしさんがへそを曲げた……そう聞いています」(同)
たけしは「金の問題じゃない」
一方、たけし側の見解は異なるようだ。たけしのさる知人は「金の問題ではない」という。
「ネトフリの話が出てきてから関係がおかしくなってきたのは事実です。ただ、たけしさんが怒っているのは、簡単に言えば、“俺はその話、聞いてないぞ”ということ。“何でそんな大事な話をしないんだ”“だまされているんじゃないか”と疑心暗鬼になってしまった」(同)
KADOKAWAに事実関係を問うたが回答はなかった。他方、たけしサイドの弁護士は、金銭関係の要求は否定したが、
〈当方は、撮影開始当初より、原作、脚本、監督、出演等の各契約の早期締結をお願いして参りましたが、現在に至るも締結されないため、やむを得ず編集等の作業をストップしております〉
と“お蔵入り”を認めた。
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(以上、「週刊新潮」2022年8月11・18日号再掲)
長年勤めるKADOKAWAの社員によると、一時期はKADOKAWA内部で、“たけし抜き”で編集作業を進め、さらに音を付けるダビング作業に入ろうとする動きもあったが、社内でも反発が大きかったという。
クランクアップから2年以上が経過。すでに14億円以上の赤字が計上されていたこの映画は、日の目を見ることになるのだろうか。