女子レスリング天皇杯 東京五輪金メダリストの川井友香子、志土地真優はなぜ敗れたのか

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 12月22から25日、駒沢体育館(東京都渋谷区)でパリオリンピック(2024年)の一次予選にあたるレスリングの天皇杯(全日本選手権)が開かれた。五輪連続出場を目指す東京オリンピック金メダリストたちは、須﨑優衣(女子50キロ級)、乙黒拓斗(男子フリースタイル65キロ級)が優勝した一方で、川井友香子(女子62キロ級)、志土地真優(女子53キロ級)が決勝にも進めずに敗れるなど、パリ五輪出場に黄信号が灯った。【粟野仁雄/ジャーナリスト】

川井が準決勝敗退

 24日の準決勝で、川井友香子(25)=サントリービバレッジソリューション=は元木咲良(20)=育英大=と対戦した。前日に59キロ級で優勝した東京五輪金メダリストの姉の金城梨紗子(28)がマットサイドで声を嗄らしたが、まったく精彩がなく元木に足を取られてはバックに回られて次々と加点され、2―9で完敗した。膝と両手をマットについたまま終了ブザーを聞いた川井は姉とコーチらの肩を借りて痛々しい格好でマットを降りていた。

 実は、10月の全日本女子オープンで腰痛を発症して棄権したのだが、その時の腰痛が再発してしまったのだ。この日は治療のため取材に応じられなかったが、翌25日の3位決定戦の棄権を発表してから報道陣の前に現れた。痛めた瞬間や状態については「2ピリオドに入って相手のプレッシャーを感じて踏み込んだときです。昨日ケガしたばかりなので(状態が)いいとは言えない」と語った。

 今回の天皇杯に向けては「調整自体はちゃんとできていたし、腰(の痛み)ともちゃんと付き合いながら練習することはできた」と話したが、声も小さく元気がない。

 川井は6月の明治杯(全日本選抜選手権)で新鋭の尾崎野乃香(19)=慶大=に敗れている。来年の明治杯で優勝しなくてはパリ五輪出場も絶望的となってしまう。「まだ終わったばかりなので次のプランは考えていない。これから考えたい」と静かに語っていた。

 川井を破った元木は、階級を非五輪階級の59キロ級から五輪階級の62キロ級に上げたばかりでその勢いに乗ったまま、決勝でも尾崎に逆転勝ちし初優勝した。

 女子62キロ級はこの3人を軸に熾烈な争いになるが今の所、もっともパリ五輪に近い位置にいるのが元木になる。

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