「代理出産」はこんなに危ない! 日本人女性が「供給者」になる新たな貧困ビジネス

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「不妊カップルへの福音」というフレーズ

 そして、いま焦点が当たっている近代的代理出産。これは1976年に米国ミシガン州の弁護士によって“発明”された契約です。元々は商行為として、つまり新たなサービスとして世に出たわけですが、人身売買ではないかという批判もあり、法に抵触しないよう、さまざまな工夫が施されました。まず、この行為が「人助け」であるという大義名分が喧伝され、また無償だと人が集まらないため、ボランティアという形をとりつつ低額の報酬で代理母を募ったのです。

 このサービスが全米に広がったのは、米国初の代理母とされるエリザベス・ケインと彼女の医師らによるキャンペーンの力が大きかった。彼女らは当時、人気テレビ番組や雑誌に妊娠中の姿で登場し、「科学技術の恩恵」「不妊カップルへの福音」「女性の助け合い」といったフレーズで代理出産をたたえ、おかげで「女性の選択」にもとづく近代的契約としての代理出産という認識が普及しました。現在まで、代理出産はこのイメージで捉えられていると思います。

代理出産が再び人気に

 近代的代理出産においてはまず、人工授精型が先に開発されてきました。中でも有名なのは86年の「ベビーM事件」。これは新生児と遺伝的につながった代理母が、依頼人の女性に子の引き渡しを拒んだことによる親権裁判です。2年後に下された判決では、代理出産契約は「社会にはお金で買えないものもある」との文言とともに「無効」とされ、代理母が実母とされました。この事件をきっかけに米国で反対運動が盛んになったこともあり、代理出産はいったん下火となります。

 それが再び脚光を浴びることになったきっかけは、90年の「ジョンソン対カルバート事件」です。この頃から、代理母とは遺伝的につながらない体外受精型が応用されるようになりますが、当時は一般に、依頼者カップル・夫婦の胚が用いられていました。この事件では、代理母となったジョンソンさんという看護師が子の親権を主張して依頼者のカルバート夫妻を訴え、判決では依頼者側に親権が認められました。依頼者側は遺伝的に子とつながっており、子を持つ意志を持っていたというのが理由です。これ以降、体外受精を用いる形で代理出産が再び人気となっていきます。

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