ENEOS元会長が“キス強要”で被害女性は骨折 抵抗する女性に「銀座では普通」【スクープその後】
肋骨の骨折などで全治2週間の診断
どこまで彼はコトの重大性を認識していたのか。もはや呆れるほかないが、ようやく悪夢の時間から解放された被害女性は、体に異変を感じていた。
「帰宅した翌日、病院で検査を受けたところ、肋骨の骨折や、首がむち打ちのような状態となっていることが認められ、全治2週間との診断を受けたようです。強い腕力で杉森さんが迫り、それを拒もうと何度も抵抗したことが原因になったと思いますが、以来、彼女は仕事も満足にできておらず、当夜のことについては“怖い”“思い出したくもない”と口にして、強い精神的なショックを受けてトラウマを抱えているとか……」
改めて被害女性に取材を申し込んだが、事件のことは振り返りたくもないと、口を開くことはなかった。
さる業界関係者が言う。
「被害女性は、杉森氏に謝罪や治療費などを求めるために連絡を取ったそうですがね。応対したのは杉森氏個人ではなく、ENEOS本体だった。会社としてもさすがに隠し切れないと思い、辞任することで幕引きを図ろうとしたのでしょうけどね。けがの程度を考えれば本来は刑事事件になってもおかしくない。示談交渉はまだ継続中だそうですから、一個人となった杉森氏の後始末まで、はたして古巣が面倒を見るべきなのかどうか……」
補助金の原資は税金
折しも、ウクライナ危機などによる原油価格の高騰で、石油元売り各社は政府から補助金を受けている。ガソリン価格の上昇による国民の負担を和らげるために始まった制度で、今月9日には政府が年末まで補助金を延長することが正式に決まった。
簡単にいえば、1リットルあたり35円を上限に、ガソリンの小売価格の値上がり分を、政府が元売り各社に補填する仕組み。本来なら1リットルあたり200円を超えてしまう小売価格を、現状の170円台に抑えてくれていると聞けば、消費者にも恩恵があると思われがちだが、さにあらず。本来は需要と供給で決まる価格に補助金が投入された結果、ガソリン価格は高止まりしたままなのではないかという批判もあるのだ。
先の記者はこう指摘する。
「そもそも補助金の原資は我々の税金ですからね。今年1月から始まった制度で、すでに総額で2兆円もの国費が投入されています。当時、石油連盟の会長だった杉森氏も政府に導入を訴え続けていたものですが、一部の業界だけを潤すバラまき政策ではないかと、政府与党内からも疑問の声が出ているのです」
しかも、コロナ禍もなんのそので、石油元売り各社の業績は過去最高益を叩き出しているというから、首をかしげたくもなる。
「企業倫理に照らし合わせれば、今回のようなトップの不祥事を公にしないのは問題ですが、その尻ぬぐいまで組織ぐるみで行えば、投資家はもとより補助金によって血税を搾り取られている国民からも、批判を浴びると思います」
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