知床観光船事故、社長の父が周囲に漏らした“高い保険に入っていてよかった”  船長への責任転嫁発言も【スクープその後】

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事故によるヒビも修理せず

 さらにこんな話も。

「これまでも、天気が悪かろうと社長は船長に出航を強要していた。それに一度出航させたら最後、途中で天候が急変しても、払い戻しを嫌がってか、船長には“戻ってくるな”と言っていたようです」(同)

 人命や安全よりそろばん勘定を優先する社長の姿勢が事故の背景にありそうだ。

「会社が修理代をケチったせいで、昨年の事故で船首に入ったヒビを満足に修理しなかった。今回、そのヒビが拡大し、隙間から浸水が始まったのでは」(同)

 やはり人災の側面が強い。

 桂田氏は今後、いかなる責任に問われるのか。「旅客不定期航路事業」の申請などを行う海事代理士の三浦嗣道氏によると、

「観光船業を行うにあたっては、運輸局へ届け出るか、または局の許可を得る必要がある。その要件として、船客傷害賠償責任保険への加入があります」

 乗客が死亡したり、後遺症が残るような傷害を受けた場合、保険によって、遺族や本人に2500万円前後が支給されることになるという。

「今年から掛け金が高い保険に入っていてよかった」

 被害者への賠償はすべてこの保険でまかなわれることになるのか。元斜里町議である社長の父親はさる知人に、次のような聞き捨てならないことを口にしているという。

「たまたま、今年から掛け金が高い保険に入っていてよかった。それにしても、船長がなぁ。海の状況に合わせて操縦する技術もないんだから」

 事故の責めは一切、船長のせいだと言わんばかりである。取材にあたる全国紙社会部記者は、

「船長に対しては、業務上過失致死などの容疑で今後、捜査が行われる」

 というが、事故直後に行方をくらました社長は、よもや逃げおおせることになりはしないか。

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