乃木坂46の写真集が売れる“しかけ”とは? 5大トピックスから振り返る2022年のグラビア事情

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デジタルに注力する雑誌グラビア、衰退するイメージDVD

 コミックの世界ではすっかり定着した電子書籍だが、グラビアの世界でもデジタル写真集が一気に増えてきた。雑誌の売り上げ低下を補うべく、各出版社から毎月大量のデジタル写真集が発売されている。

 各雑誌がデジタル写真集に力を入れるのには「資源の再利用」という一面があるからだ。

 雑誌のグラビア用にグラドルを撮り下ろしたとしても、紙の時代には誌面の都合で数ページしか掲載できず、残りの写真は無駄になっていた。しかし、この使わなかった写真をデジタル写真集として編集して販売すれば、捨てていた部分から利益が生まれるようになる。

 さらに、ここ数年で読者側が電子書籍の購入に抵抗がなくなったこともあり、売り上げも伸びている。今やグラビアが掲載される雑誌はどこもデジタル写真集を作るようになっている。

 グラビア撮影の再利用としてもう一つ挙げられるのが、水着動画だ。グラビア撮影の風景を収めたり、その合間に撮った動画をDVDにつけたり、YouTubeチャンネルに投稿するケースが定番化している。美女の水着の需要は高いため再生数も非常に高く、YouTube上には1,000万、2,000万再生を超える動画もある。

 現在「週プレChannel」のチャンネル登録者数は約100万人。「講談社ヤンマガch」は約73万人、「ヤンジャンTV」は約40万人で、ヤンジャンTVでは4K映像を流している。出演するタレントも雑誌の表紙を飾る現役の人気アイドルはもちろん、小島瑠璃子(29)や足立梨花(30)などの水着姿も見ることができる。これが無料で見られるのだから、数字が伸びるのもうなずける。

 一方で斜陽なのがイメージDVDの世界だ。

 かつては雑誌グラビアとともに一時代を築いたイメージDVDだが、近年は落ちる売り上げを補填するために過激化路線だ。雑誌のグラビアでも見かけない、ほぼ紐のような過激な水着を着せたり、アイスなめなど過激な演出をとる作品が横行し、グラドルからも「DVDの仕事はやりたくない」という声を聞くことが増えた。

 そこに先ほど触れたYouTubeや雑誌のDVDが登場し、需要の高い人気アイドルたちの水着は無料、もしくは安価で見られるようになった。売れなくなったイメージDVDはマニア化したファンの要求に応えるためさらに過激化、出演するアイドルの質が落ち、また売れなくなるという負のスパイラスに陥り、いよいよ後がない状況になっている。

 ここに来て、業界の中でも良心的だったメーカーがなくなる可能性も浮上する。オワコン化はさらに進みそうだ。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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