桑田佳祐は三波春夫になりきって抗議殺到、長渕剛はベルリンからタコ発言…NHK紅白「6つのトラブル」の真実

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

2006年(第57回)「NHK内の衝撃度は一番、DJ OZMAとダンサーズの全裸スーツ事件」

 NHKは紅白でのほとんどのパフォーマンスを大目に見る。第一、大半のパフォーマンスは担当ディレクターが事前に聞かされているのだ。織り込み済みなのである。

 唯一、シャレにならなくなったのがDJ OZMA(氣志團の綾小路翔、46)とダンサーらの全裸スーツの一件だ。各新聞から共産党の発行する「赤旗」にまで批判記事が掲載され、当時の橋本元一会長が謝罪する羽目になった。

 OZMAが歌ったのはノリノリの曲「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」。歌詞の後半に「今夜 踊り狂おう 裸で――」という下りがあり、ここでライブではOZMAとバックダンサーが全裸スーツ(裸に見える着ぐるみ)になる。ただし、NHK側の説明では紅白では見合わせることになっていた。

 ところが、フタを開けてみると、ライブと一緒。男女ダンサーは全裸スーツになった。OZMAも。よく出来ている代物だから、大騒ぎになった。

 女性の胸の隆起や下着が一人ひとり違った。色も人肌のよう。一見するとホンモノ。画質が悪かった昭和のテレビなら、誰もスーツだなんて思わないはず。その分、盛大に抗議電話が入った。

 総合司会の三宅民夫アナ(70)が放送中から「ボディースーツを着用していました」と火消しに躍起になったが、収まらなかった。NHKには元日までに「ふざけすぎ」「子供の観る時間にふさわしくない」などの抗議電話が約750件入った。

 プロパーだった当時の橋本会長は1月4日、職員向けの年頭あいさつで謝罪。まさか紅白のことで謝ることになるとは思ってもみなかっただろう。

 OZMAは担当ディレクターには伝えてあったと主張したが、真相は藪の中。

 OZMAとしての活動は2008年で終わったが、綾小路もこの騒動以降、NHKから一切お呼びが掛からない。

 雪解けの日はいつ来るのか。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

前へ 2 3 4 5 6 次へ

[6/6ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。