カニ、イクラ、カズノコ…何もかも高い「お正月」の魚介類 そこでおススメする水揚げ量「日本代表ベスト8」
水揚げ高「日本代表」の魚は、手ごろでおいしい
これらは単に魚種を羅列したわけではなく、2021年の日本における「魚の水揚げランキング(農林水産省調べ、重量ベース)」に名を連ねるベスト8である。
3位のホタテガイは殻の重さが入るため、少々例外だが、他の魚種は少なくとも大人気とは言えない魚種。しかも、高級魚介のニーズが高まる年末年始やひな祭り、ゴールデンウィーク、お盆になると、その都度、需要が低下する。その時期に各地で水揚げが多ければ、魚市場などでだぶついてしまう。
特に、イワシとサバの2トップに関しては、水揚げが多過ぎるためか「生鮮食用向け」の割合が極めて少ない。農林水産省の調査では、生鮮向けはともに14%ほど。サバについては「サバ缶」用に加工される分が多いものの、それでも最多は漁業用の餌となり、イワシは魚油や飼料向けが最も多い。
豊洲市場の競り人によれば、イワシ、サバともに「大ぶりな魚が少なく、脂の乗りが悪い小型ばかりだから、漁港から市場へ運んでも買い手が付かない」とあきらめ顔だ。これを見越して各地の漁港では、イワシやサバがたくさん揚がっても、ほとんどが冷凍庫へと運ばれてしまう。
我々は大衆魚をどれほど食べたか?
高級魚介の仲間であるホタテガイと、多くが「すり身」に回されて利用されるスケトウダラ、寒ブリなどで知られるブリは除外しても、イワシ、サバ、カツオ、アジなどを我々は、ここ数年、どれほど食べたであろうか。
それぞれのおいしい食べ方は、ネットでたくさん紹介されている。よく魚料理が敬遠される理由として「調理が面倒」という理由が挙げられるが、小魚なら塩焼きでおいしく食べられる。いずれも内臓や骨を取らなくても、小さければ唐揚げに天ぷらと、揚げるだけで十分に美味である。油を使うのが嫌であれば、きれいな刺し身にできなくても「なめろう」にして、好きな味付けで食べられる。
市場関係者が「魚介類すべてが高い」と口を揃えるいまこそ、山のように獲れている魚に目を向けてほしい。こうした魚を、市場を通じて小売店の店頭に運ぶためにも、日本代表「ベスト8」の魚たちを見過ごしてはならない。サッカーW杯で実力を見せつけ、日本中の脚光を浴びた選手たちのように、まだ日本人がそのおいしさに気づいていない魚は、これからも各地の漁港で揚がるはずだ。
[2/2ページ]