ついに警視庁が「ガーシー」に事情聴取要請 「逮捕」はあるのか、元特捜検事が明かす「気になる捜査の行方」
「在宅起訴」か“逃げ得”か
気になる捜査の行方について、元東京地検特捜部検事で弁護士の若狭勝氏はこう話す。
「告訴状が受理されているケースでは、たとえ被告訴人が国会議員であっても、一度は被告訴人の事情聴取をしなければなりません。そのため今回の要請自体は通常の手続きの範疇といえます。ただし名誉毀損罪などの嫌疑をかけられた容疑者が国会議員であるような場合、1回目の呼び出し聴取の後、ただちに逮捕されるとの事態は想定しづらい。他方、過去の投稿動画などから客観的な証拠類はすでに揃っているとも考えられるので、犯罪事実の認定そのものは難しくないかもしれません。それでも今後の捜査の展開は、1回目とその後の事情聴取における東谷氏の弁明や態度次第となります」
もし聴取に応じた東谷氏が反省の意を示し、犯罪事実も認めるような場合には、起訴されるにしても「在宅起訴」となる可能性が高いという。
理由は、そもそも名誉毀損罪での立件は在宅起訴になるケースが多く、また現職の国会議員を脅迫罪で逮捕した前例はないとされるためだ。
「捜査には相応の時間がかかると見られ、閉会中に何らかの結論が出るというより、警視庁は国会会期に突入することも視野に入れて捜査を進めていると考えたほうが自然です。しかし仮に会期中に逮捕しようとすれば、参議院への逮捕許諾請求が必要になってくる。容疑が贈収賄ならいざ知らず、名誉毀損罪などでの許諾請求となると警察庁・内閣官房・参議院などとの面倒な調整が必要になり、“それは避けたい”と警視庁が考えても不思議ではない。諸条件を勘案すると現状、犯罪行為を立証できたとしても在宅起訴に落ち着く可能性が高いと考えます」(若狭氏)
ただし逮捕の可能性も残っており、それは東谷氏が聴取要請に応じなかった場合という。
「要請を拒否すれば、警視庁が逮捕へと踏み切る公算は大きくなります。ただ現実問題として、東谷氏がドバイから帰国しないことには逮捕できず、ドバイに捜査協力を要請したとしても実効性がどれほどあるかは不明。海外にいる間は刑事時効は進まないものの、警視庁が相当なプレッシャーを東谷氏にかけなければ刑事責任の追及から事実上逃れる、つまり“逃げ得”となる可能性もあります」(若狭氏)
捜査当局の介入で狭まる“ガーシー包囲網”。攻防の帰結はまだ見通せない。