新型コロナ「第8波」到来 塩野義・飲み薬「ゾコーバ」を中国にどんどん売った方がいい理由
中国も前向き
海外に目を転じると、世界保健機関(WHO)は12月中旬「来年、新型コロナのパンデミックは収束する」と楽観的な見通しを示したが、その直後に「時期尚早だった」と自らの認識を改める事態に追い込まれた。12月中旬にゼロコロナ政策を全面解除した中国で新型コロナの感染爆発が起きているからだ。
新型コロナは「エイズなど免疫不全を抱える人の体内に長期間感染した状況下で持続的な変異を繰り返す」とされている。中国では高齢者へのワクチン接種が遅れており、免疫力が落ちた高齢者の多くが新型コロナに感染すれば、新たな変異型が出現するのではないかと危惧されている。
事態を深刻に受け止めた米国政府は12月20日、自国製ワクチンの提供を申し出たが、中国製ワクチンにこだわる習近平指導部はこれを拒否した。
一方、中国の医薬品販売会社は12月14日、ファイザーのパキロビッドを中国本土で輸入・販売する契約を結んだ。パキロビッドは2月に中国政府に承認されており、ファイザーは中国の医薬品メーカーとライセンス生産の契約を締結している。
有力な自国の飲み薬が存在しないからだろうか、ワクチンとは異なり、中国政府は海外の飲み薬の受け入れには前向きのようだ。
飲み薬はウイルスが体内で長期にわたって感染し続ける事例を減少させることができ、ワクチン以上に変異型の出現を抑止できると考えられる。
「ファイザーに続け」とばかりに塩野義は12月23日「ゾコーバの安定供給のため中国製薬大手と提携した」と発表した。塩野義は中国政府に承認の申請をしており、承認が下りれば、中国での飲み薬の普及に弾みがつくことは間違いない。
塩野義は年間1000万人分の供給に向けて生産を拡大する計画を有しており、海外での販路が順調に開拓できれば、「1回の処方で約3万円」とけっして安くないゾコーバの薬価を大幅に引き下げることができる。
新型コロナの収束に国産飲み薬が存分の活躍をすることを期待したい。
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