「コロナの病原性はインフルエンザより弱い」「高齢者が街に帰ってこない」 老年医学の権威が語る第8波の過ごし方
マスク着用自体に害がある
権威主義の国である中国でも、いまや人々が命がけで移動や営業の自由を訴え、ゼロコロナ政策から転換されました。ところが日本は、先の参議院選挙でも、コロナ自粛に反対したのはNHK党と参政党くらいで、「自由が大切だ」という政策は出されません。どこの国でも、自粛をすべきか否かで国論が二分されるのに、日本はコロナの前に白旗を揚げてしまっています。この状況は自由主義の危機でもあると思うのです。
とにかく、コロナウイルスがここまで弱毒化しても、国民全員がマスクをし続けるべきだというなら、日本人は未来永劫、マスクを外せなくなってしまいます。
マスクには害がない、と思っている人が多いですが、間違いです。マスクを着用していると、吐いた息を吸わなければならず、これは明らかに体に悪い。
また、欧米の人がマスクを嫌うのは、彼らには相手の顔を見て話したい、という意識が強いからです。ところがいまの日本では、相手の笑顔を見ながら話すことができず、外に出ても人の笑顔が見えません。
笑顔には人をリラックスさせ、気分を良くし、ひいては免疫力を高める効果があります。それなのに、笑顔が見られない生活が何年も続くのは、非常にまずいことで、免疫力の低下ばかりか、うつ病の増加にもつながります。
新型コロナが死なない病気になったのに、マスクだけは外さない。そのことには、明らかにデメリットがあります。いまの日本はマスクをしない人への同調圧力が強いですが、その弊害をしっかり認識しておいて損はありません。
専門医に忖度してダンマリ
マスクだけではありません。過度の自粛の弊害で弱ってしまった高齢者が多いのに、日本老年医学会も日本精神神経学会も、「外に出ないと足腰が弱ってしまう」「日に当たらないとうつになりやすい」といった警鐘を鳴らしません。コロナ自粛のせいで健康被害が生じていると知りながら、言わないのです。
これは日本の医学界における構造上の大きな欠陥で、ほかの医者がすることには口出ししない傾向があります。この場合は、感染症の専門医からカウンターパンチを食らうのを嫌い、彼らに忖度してダンマリを決めているわけです。
その結果、政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長らが象徴的ですが、古い医学モデルが押し付けられたままになっています。
感染拡大の初期、まだウイルスの実態もわからなかった時期に、自粛優先を受け入れたのは仕方ないでしょう。しかし、この感染症に関する知見が蓄積されても、いまの分科会のように考え方を変えられないのは、専門家が脳の老化現象を起こしているのではないかと疑ってしまうほどです。
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