「コロナの病原性はインフルエンザより弱い」「高齢者が街に帰ってこない」 老年医学の権威が語る第8波の過ごし方
またぞろ「第8波」で感染拡大が心配だと騒いでいる。それでも多くの国民は外出をやめる気がなさそうだが、「コロナ弱者」だと強調されてきた高齢者だけは、相変わらず家にこもりがちだ。しかし、健康を考えたとき、それが「一番危険」だというのである。【和田秀樹 / 精神科医(老年医学)】
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新型コロナウイルスの流行は「第8波」を迎え、感染の拡大が騒がれています。厚生労働省アドバイザリーボードの脇田隆字座長によれば、流行のピークが年内に到来する可能性があるそうで、「大きな波が来る」という指摘も、あちこちで聞かれます。
また、世界保健機関(WHO)は、12月5~11日の週間感染者数が日本は前週比13%増の84万9371人で、6週連続で世界最多だ、と発表しています。
そんな話を聞かされれば、新型コロナはまだまだ怖い、特に日本では怖い、と思う人が多いのも、わからないではありません。
しかし、なぜ日本の感染者数が世界で一番多いのでしょうか。それは、PCR検査を徹底して感染者を洗い出し、細かく数えている国が、もはや日本しかないからです。新型コロナはもう怖くないと判断し、コロナ前の社会に戻すのが今日の世界標準なのに、日本だけは異常なまでの感染対策を続けています。
まず、そのことを意識してみてください。そのうえで、「第8波」の実態をチェックしてみましょう。
季節性インフルエンザより病原性が弱い
今年前半の第6波以降、新型コロナウイルスが変異株のオミクロンに置き換わってから、感染の形は劇的に変わりました。それまではウイルスが肺に届き、肺炎を起こすからやっかいでしたが、オミクロンは滅多に肺まで到達せず、たいてい上気道で止まります。ウイルスが口の近くにとどまるため、他人にはうつりやすくなり、感染者数が膨らみましたが、亡くなる人は少なくなりました。
今年夏の第7波では、一時、重症者数が少ないわりに死者数が多いように思われました。しかし、これは第6波以前の感染者で、人工呼吸器をつけるなどしていた人が、その時期に亡くなったためです。
新型コロナはいまも、感染症法上で危険度が上から2番目に高い2類以上に位置付けられています。しかし、現実には、5類に置かれている季節性インフルエンザよりも、病原性が弱くなっています。事実、厚労省のデータを見ても、重症化率はインフルエンザの0.08%に対し、新型コロナは0.01%と、8分の1程度。致死率も新型コロナは0.08%で、インフルエンザの0.09%よりも若干低くなりました。
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