山上容疑者の母親が語った“本音”「信仰は続けたい」 妹は「事件起こしたとか言われても、知らん」【スクープその後】

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「喉から手が出るほど銃が欲しい」

 一昨年末には、米本氏のブログへのコメントでも教団に対する激しい憎悪を見せていた。

〈統一教会(中略)を破壊しようと思えば、最低でも自分の人生を捨てる覚悟がなければ不可能ですよ。

(中略)我、一命を賭して全ての統一教会に関わる者の解放者とならん〉

〈世界平和家庭連合? ポルポトか? スターリンか? ヒトラーか? どんな地獄だ?
 人の生き血はどんな味だ?〉

〈統一教会の所業が彼ら(ヒトラーやスターリン)に比肩し得る人類に対する罪レベルだからだ。

(中略)いずれ誰かが殺されるだろう。

 私と社会にはそれをビールでも飲みながら娯楽として消費する権利がある。行使するかは自由だが。

 だが言っておく。復讐は己でやってこそ意味がある。不思議な事に私も喉から手が出るほど銃が欲しいのだ。何故だろうな?〉

「信仰は続けたい」

 そして今年1月、派遣先の工場で同僚と仕事の仕方などを巡って衝突。その後もトラブルがあり、5月に自己都合で退職している。

 増幅する狂気がそのまま犯行直前の手紙に記された決意につながっていることが分かる。“狂弾”の原因を作った母親の現在の心境は冒頭で紹介したが、教団に対してはどう思っているのか。前出の統一教会関係者が声を潜めて言う。

「母親は安倍さんのご家族に謝罪したいとは話していましたが、一方で、息子さんがこれだけ重大な事件を起こしたのに、教会の批判は一切、口にしていません。事件後も“私の至らなさで、こんなことになってしまった。でも、信仰は続けたい”と言っています」

 この期に及んで、信心は揺らいでいないというのだ。

 一方で、山上容疑者の妹に遭遇した知人は、こう打ち明けられたという。

「あの事件あったやろ。あれの犯人、ちょっと身内っていうか、私のお兄ちゃんやねん。だから今ちょっと面倒くさくて大変なんや。でも、もう4年くらい会ってないし、一緒に住んでもおらんから、事件起こしたとか言われても、知らん」

 山上容疑者の手紙は最後、こう結ぶ。

〈安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません。〉

 だが邪宗にもたらす意味、結果は明確に見通していた。彼はこう供述している。

「自分が安倍氏を襲えば、家庭連合に非難が集まると思った」

 ***

(以上、「週刊新潮」2022年7月28日号再掲)

 改めて山上容疑者の実母に取材を試みたところ、現在は弁護士を通じて彼の様子を聞いているとしながら、こう思いを吐露した。

――現在も統一教会を信仰している?

「それは、前から言っていますけど、そうです」

――彼の犯した事件の重大さは理解していますか?

「残念ながら私も、そこにどうやって行ったのか……分かりません」

――「そこ」とは?

「事件になったのが……」

――なぜ事件に至ったのか分からない、と。

「ええ、ええ……。反対していましたけど」

――反対していた?

「教会に対して、ですね。私に対して、言っていますでしょ。(これまでの)記事にいっぱいあるでしょ」

 つまり、統一教会に「反対」はしていたが、なぜそれと事件がつながったのか理解できないということらしい。母親は最後に少し力を込めて、事件と息子への思いをこんなふうに語った。

「(自分の)子どもですから。みんな、そうでしょ。一緒でございましょう」

 いかなる犯罪をなそうとも、わが子はわが子、という気持ちと、凶悪なテロ事件、そして長年の信仰心が複雑に絡み合い、いまだに整理ができていないというところだろうか。

週刊新潮 2022年7月28日号掲載

特集「『安倍元総理暗殺』激震収まらず 」より

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