山上容疑者の母親が語った“本音”「信仰は続けたい」 妹は「事件起こしたとか言われても、知らん」【スクープその後】

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 日本中を大きく揺さぶった安倍晋三元総理(当時67)の暗殺事件。母親を破産に追い込んだ統一教会への恨みから手製銃の引き金を引いたとされる山上徹也容疑者(42)は年明けにも起訴される見通しだ。そんな山上容疑者の母と妹が周囲に語っていた、事件への“本音”とは。

(以下、「週刊新潮」2022年7月28日号を再掲する。日付や年齢、肩書などは当時のまま)

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「今は少し落ち着いてきたけど、まだ今後のことは考えられない。まずは、安倍さんのご家族、親族の方々に謝罪したい。私の至らなさで……」

 7月17日の朝、山上徹也容疑者の母親は親しい統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関係者に、電話でこう打ち明けていたという。彼女が打ち砕いてしまった息子の人生。彼が行動を起こすにあたり、触発された映画があった。

 3年前、愛知県常滑市の国際展示場から自宅に帰る道すがら、山上容疑者の脳裏には時折、前々日に観たその映画のシーンが、断片的に浮かんでは消えていたことだろう。

教会トップの暗殺は失敗

 その日、2019年10月6日は、統一教会の信者にとって特別な一日だった。

 教祖文鮮明亡き後、信者たちが「真のお母様」と崇める教団のトップ・韓鶴子(79)。彼女が、日本の信者の前に姿を見せる日だったのである。

 絶対に殺す――。山上容疑者は固い決意と共に、荷物に火炎瓶を忍ばせて、イベント会場に入ろうとした。だが、

「部外者は会場に入場できず、この時、山上容疑者は計画を断念しています」(捜査関係者)

 あの映画の主人公みたいにはなれなかった……。失意は深かったに違いない。

 後に彼はTwitterにこう書きつけている。

〈オレがJOKERを観たのは鶴子がやって来る前日、名古屋でだった。〉(20年8月12日)

 国際展示場でのイベント前日の5日、韓は名古屋市内のホテルに米下院議員や自民党議員たちを招き「ジャパン・サミット」を開いている。

 その前の日、つまり19年10月4日は映画「ジョーカー」が日米同時公開となった初日だったのである。

〈ジョーカーは何故ジョーカーに変貌したのか。何に絶望したのか。何を笑うのか。〉(20年1月26日)

「ジョーカー」は、特殊な疾病を抱えた男が、社会の底辺から這い上がろうとするも、心折れ、社会へ復讐する悪役・ジョーカーになり、世上を騒乱の渦に陥れる物語である。

事件前日に送られた手紙

 では、現実ではどのような道筋をたどり、山上容疑者は「ジョーカーに変貌したのか」。読み解く鍵は、彼がしたためた手紙にある。

〈ご無沙汰しております。「まだ足りない」として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか。〉

 この書き出しで始まるA4判1枚の書面が入った封書の送り先は、統一教会を批判する活動を行っているルポライターである。消印は「岡山中央」になっていた。

 山上容疑者は事件前日の7月7日、遊説中の安倍晋三元首相(享年67)を、岡山でも狙っており、かの地から投函したのである。もっとも、

「安倍さんが今月6日、横浜に応援演説に入る際にも山上容疑者が狙っていたという情報があります。前日、三原じゅん子の事務所に、執拗に翌日の安倍元首相の立ち位置などを確認する問い合わせがあったのです」(前出・捜査関係者)

 手紙はこう続く。

〈私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました。〉

「銃の入手」と記しているが、実際は“自製”。昨年秋からネットで銃の作り方を調べ、部品も通販で仕入れて試作を繰り返していた。

「黒色火薬もお手製。犯行に使った銃は金属製の筒2本を木製の板やテープで固定し、発火用の電気コードを接続したものでした」(社会部記者)

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