タイ在住の企業家・後潟佑哉が元カノの住所を20年ぶりに訪ねてみた結果とは?

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学生時代に付き合っていた彼女の夢

 沢木耕太郎の「深夜特急」に憧れ26歳でバンコクに移住、現地で起業し、トラベルカルチャー誌「TRANSIT」などにも寄稿する、企業家の後潟佑哉さん。コロナ禍により日本とタイの往来が難しくなった日々の中で、久しぶりに帰国した彼が向かった先は……。

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 妻子がいる今になっても学生時代に付き合っていた彼女の夢を数年に1回見る。彼女とは1年半ほど付き合っていたが、なんの前触れもなく連絡がプツリと途絶えてしまった。別れてから数日で電話番号もメールアドレスも変えられてしまい唯一残った手掛かりが当時住んでいた彼女の実家の住所だった。が、振られた男が泣きながら行くのも情けない話だと行くのは諦めた。

 あれから20年が経ち、僕は地元を離れ日本から遠く離れたタイに住んでいる。そこで久々に彼女と楽しく話をしている夢を見た。失われた青春の記憶がよみがえり高揚と呪縛が混ざったような感覚の中ふと目が覚める。いったい彼女は今何をしているのだろうと気になった。何がしたいということはないが何かしらのかすかな鱗片を感じたかったのかもしれない。

 ともかく調べてみよう。となると昔とは違い今は便利なものでGoogleやSNSでささっと検索できる。しかし、彼女の名前を調べてみても結婚したのか、そもそもSNS自体をやっていないのか、今の足取りをつかむことはできなかった。ふと思いたち、Googleマップでかつての記憶を頼りに地図をたどり進めていくとそれらしき家を発見した。すぐにストリートビューに切り替え外観を確認する。間違いない、彼女の実家だ。「もしかして今も住んでいるのだろうか?」バーチャルな路地で正面に回りこみ表札を確認する。しかし、あと一歩だというところで表札にはモザイク処理がされ現在住んでいるのかどうか知ることができなかった。とりあえず当時の思い出に触れられたのでブックマークだけして満足することにした。

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