「森英恵さん」、“世界のハナエモリ”愛用者は大統領夫人や王妃まで【2022年墓碑銘】

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蝶を愛した原点は

「60年代からお世話になっています。採寸してサイズの変化から私の妊娠に気付いたのも森さん。服も仮縫いの時の写真も大切に持っています。優雅で細部まで配慮が行き届いていました」

 80年代には年間約400億円の売り上げを記録。93年には皇后陛下雅子さまの御成婚時のローブデコルテをデザインしている。

「日本一のデザイナーとして選ばれたのは当然です」

 と、皇室ジャーナリストの渡辺みどりさんも評する。

 96年、服飾デザインの分野で初めて文化勲章を受章。栄誉を極めたが2002年、「ハナエモリ」が100億円以上の負債で民事再生法の適用を申請。関連事業の拡大があだとなった。三井物産などが事業を引き継ぎ、ブランドは残った。

 04年までパリでショーを開き新作を発表。孫でモデルの森泉さんと登場し、78歳で世界の第一線から退く。

 その後も、オペラ「アラベッラ」や、19年に美空ひばりをAIでよみがえらせた際の衣装を任されてきた。

 8月11日、老衰のため、96歳で逝去。

 蝶を愛した原点は故郷の自然だ。時代は変わっても手で創る大切さを忘れてはいけないと語り続けた。

デイリー新潮編集部

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