今年も年末年始にあえて「カレーライス」を出すテレビ東京 若者に媚びない戦略の原点は
演歌中心、ブレない「年忘れにっぽんの歌」
1968年に始まった「年忘れにっぽんの歌」は55回目の放送となる。73回目の「NHK紅白歌合戦」は韓国系アーチスト5組の重用 など大きな変化を見せているが、「にっぽんの歌」は第1回から一貫して出演陣の大半が演歌勢。全くブレない。
こちらも昨年の視聴率は上々だった。午後4時から同7時までの前半が世帯8.3%(個人3.7%)。同7時から同10時までの後半が世帯6.6%(個人3.7%)。やはりAクラスの成績だった。
もっとも、若者は「にっぽんの歌」をほとんど観ていない。例えばF1層(女性20~34歳)の個人視聴率を見てみると、前半は1.0%、後半は0.3%。びっくりするほど低い。だが、そんな結果はテレ東も最初からお見通しのはず。若者に媚びを売らないところもテレ東らしさである。
一昨年末に紅白への50回連続出場という記録を達成した五木ひろし(74)は昨年の紅白には出なかった。事前に紅白卒業を宣言した。長く紅白に貢献してきた演歌勢を冷遇するNHK側の姿勢に嫌気が差したためとも伝えられた。だが、演歌勢を大切にしている「にっぽんの歌」には出た。今年も出演する。
やはり紅白を卒業した細川たかし(72)、2002年以降は紅白出場がない八代亜紀(72)も出る。「にっぽんの歌」は紅白の大物OB・OGたちのジョイントコンサートの趣もある。
一方、石川さゆり(64)、坂本冬美(55)、山内恵介(39)、三山ひろし(42)らは紅白とダブル出演する。ダブル出演組は紅白の第1部が始まる午後7時20分より早い時間に登場するのが慣習だ。
ダブル出演組は「にっぽんの歌」を斬り捨てたりしない。演歌の砦を守り続けてきたこの番組を大切にしている。
「誰しもが歌える名曲を日本の有名な歌手に歌っていただくというのは、大晦日になくてはならない番組だと思っています」(斎藤勇・総合編成局長、12月2日の定例社長会見)
韓国系アーチストを重用する紅白への皮肉にも聞こえる。局側の発言も攻めている。
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