今年も年末年始にあえて「カレーライス」を出すテレビ東京 若者に媚びない戦略の原点は
年末年始の民放各局は特番ラッシュ。テレビ東京も「年末年始のテレ東はスゴイ」をキャッチコピーとし、特番体制となる。だが、中身は「孤独のグルメ」や「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」などの通常番組の拡大版や定番番組ばかり。テレ東は「攻めている」のか、それとも「逃げている」のか?
テレ東の年末年始特番はカレーライス
年始番組は通常より豪華であることから「おせち番組」とも呼ばれるが、テレビ東京は年末も年始もほぼ普段どおり。カレーライス状態である。
他局が同じことをやったら、「やる気あるの?」と視聴者から責められそうだが、テレ東はそうならない。多くの視聴者に愛されているからだ。まずは年末の特番から見てみたい。
※12月28日(水)「水バラ ローカル路線バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」(午後5時55分)
※同29日(木)「タクシー運転手さん 一番うまい店に連れてって! 2時間スペシャル」(同)
※同30日(金)「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ! 4時間スペシャル」(同)
※大晦日(土)「第55回年忘れにっぽんの歌(6時間)」(午後4時)
※同 「孤独のグルメ 2022大晦日スペシャル(1時間半)」(同10時)
目新しさは1ミリもない。「孤独のグルメ」の大晦日スペシャルは6年連続の放送となる。昨年もやはり午後10時から1時間半の放送だった。
おまけに大晦日と元日の午前中には計12時間も「孤独のグルメ」の再放送(イッキ見)を流す。これも昨年と同じ。まるで勝負を捨てて逃げているようにも映る。
だが、実際には違う。テレ東には視聴者ニーズが確実に読めている。他局が特別メニューを提供する時期だからこそ、あえてカレーライスを用意する。
昨年の「孤独のグルメ」の大晦日スペシャルは世帯6.1%(個人3.5%)の視聴率を獲得した。この時間帯ではAクラスの成績だった(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
放送時間が重なったTBS「THE鬼タイジ大晦日決戦in鬼ヶ島」(午後7時40分~11時45分)は世帯3.9%(個人2.8%)だったから、完全に打ち負かした。どうみてもTBSのほうが制作費を使っていたから、ビジネス的にもテレ東の完勝である。
同じく日本テレビ「笑って年越したい! 笑う大晦日(第2部)」(午後9時~深夜0時半)は世帯5.6%(個人3.5%)だったので、互角以上の戦いをした。テレ東ファンには、たまらない結果だった。
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