楽天、石井一久がGMを離れ「監督専任」に…それでも常勝化できない“怪しい雲行き”
例年になく「寂しいオフ」
フリーエージェント(以下FA)で移籍が決まった嶺井博希(DeNA→ソフトバンク)、森友哉(西武→オリックス)、伏見寅威(オリックス→日本ハム)、近藤健介(日本ハム→ソフトバンク)など、今年はパ・リーグで多くの動きを見せているストーブリーグ。しかし、その中にあって、ここ数年とは対照的に比較的静かなのが楽天だ。【西尾典文/野球ライター】
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近年は、FAで浅村栄斗や鈴木大地、メジャーからの復帰組では、牧田和久や田中将大を獲得するといった“大型補強”を敢行。昨年も日本ハムを「ノンテンダー」という形で自由契約となった西川遥輝を獲得して、オフの主役になることが多かった。
だが、今年は12月21日現在で、トレードで中日から阿部寿樹を獲得したものの、それ以外は目立った動きはなく、FAでの選手争奪戦にもパ・リーグで唯一参戦していない。浅村との再契約の“優先度”が高かったことは確かだとはいえ、上位を争うオリックスやソフトバンクに比べると、寂しいオフになっている感は否めない。
改めて今季を振り返ってみると、4月から5月にかけては球団記録となる11連勝をマークして、一時は首位を独走したものの、それ以降は急激に失速。前年を下回る4位でクライマックスシリーズ進出を逃している。
石井一久GM(2021年からは監督を兼任)が就任してからの4シーズンの順位を見ても、「3位→4位→3位→4位」と“低迷”とはいえないまでも、次々と大型補強をした割には「費用対効果」が良いとは言えない。
“球団の体質”も影響
この結果を受けてだろうか、今オフには石井監督がGM職から離れ、監督業に専念することが発表された。中長期的なチーム強化を担うGMと、そのシーズンの結果が求められる監督を兼任することは、どう考えても無理がある。
それを考えると、監督に専念するということは適切な判断と言えそうだが、この決定に対して疑問の声も多い。
「ここ数年、実績のある選手を獲得できたのは、石井GMの手腕と言えます。一方で、監督としては結果を残せていない。本来ならGMに専念して監督を新たに招聘するというのが得策だと思いますが、そうならないのは“球団の体質”に問題があるのではないでしょうか。三木谷浩オーナーの意向が強く、トップダウンの体質で、楽天の監督経験者は、退任後に軒並み在籍時の不満を漏らしています。2019年には、チームの順位を前年の6位から3位へ引き上げた平石洋介(現・西武ヘッドコーチ)を解任したことが、大きな話題となりました。そのこともあって、なかなか監督の引き受け手が見つからないというのが、実情ではないでしょうか」(在京スポーツ紙記者)
以前、楽天の元球団関係者に話を聞いたことがあるが、シーズン中のオーナー報告が大変で、時には三木谷オーナーから「(ピッチャーの投げた結果に対して)こういうデータを取れないのか?」という手書きのメモを渡されたこともあったという。星野仙一元監督ほどの実績とカリスマ性、球界への影響力を持った人物でなければ、オーナーが過度に現場に介入するなかで、成績を残すことは簡単ではないだろう。
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