妻の連れ子が留学のために風俗でアルバイト…黙認したアラフォー夫にある晩起きた、“信じ難い事件”とは

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生々しすぎる“夢”

 その後、有希恵さんは家庭が安定したこともあってか、以前より仕事に精を出すようになった。出張も増えた。

「ある晩、有希恵が出張で留守をしているとき、帰宅したら千穂もまだ帰ってなかった。僕は同僚と一杯やってきたので、風呂に入ってそのまま自室のベッドに倒れ込んでいました。ふっと気づいたら誰かが僕のベッドにいて下半身をモゾモゾやっているんです。なぜか有希恵だと思い込んで『帰ってたのか』と抱きしめた。いつもより情熱的で激しかったけど、なんだか夢の中にいるような気持ちにもなって……。とにかく不思議な時間だったんです。ハッと目覚めると誰もいない。やっぱり夢かと思ってそのまままた眠ってしまいました」

 気づくと朝だった。慌ててシャワーを浴びて出社した。酔いが醒めてみると、やはりなんだかおかしい。昨夜の夢は生々しすぎた。

「その日、早めに帰宅すると妻が料理をしていて、珍しく千穂もいた。3人で食事をして、有希恵が買ってきたお土産のお菓子を食べて。千穂は僕のほうをチラチラ見るんです。何か言いたいことがあるのかなと思ったけどわからなかった」

 有希恵さんが「今日は早めにお風呂に入って寝るわ」と席を立った。繁雄さんは仕事を持ち帰っていたので、「僕は仕事しなくちゃ」と自室にこもった。繁雄さんと有希恵さんは、結婚当初から寝室を別にしていた。千穂さんへの配慮からだ。だが、実際には繁雄さんの部屋に有希恵さんが来て一緒に寝ることも多かった。

 その日もお風呂から上がった有希恵さんは、繁雄さんの部屋にやってきた。

「仕事が忙しかったら、私、向こうで寝るけどと有希恵が言ったけど、僕は黙って有希恵を抱きしめました。風呂上がりにちょこんとベッドに座った彼女がやけにかわいく見えて。思わず押し倒すと、彼女もその気になっているのがわかりました。廊下を隔てた向こうの部屋には千穂がいる。いつもなら千穂がいるときはしないんですが、その日はなんだか流れで止められなくなっていた……。そのとき有希恵が『痛っ』と起き上がったんです。あわてて枕元のライトを明るくすると指から血が出ている。『これ、千穂のピアスよ。誕生日に私があげたの。どうして千穂のピアスがここにあるの?』って。え、え、えと僕はしどろもどろ。昨夜のあれは千穂だったのか、ということは僕は千穂としてしまったのか。何がなんだかわからなかった」

 有希恵さんはピアスを持って廊下に出ると「千穂!」と大声を出した。千穂さんが部屋から出てきた。有希恵さんの肩越しに千穂さんの顔が見えた。

「どうしてあなたのピアスが、この部屋にあるのと有希恵が聞くと、千穂は『わ、このピアス、なくなったから探してたの。この前、お風呂にはいるときに落としたんだよねえ。ママのパジャマについてたんじゃない?』と言いました。ごく自然に答えていて、『うれしい、あってよかった。だってママにもらった大事なピアスだもん。ごめんね』と続けました。演技だとしたらすごすぎる。有希恵は『そうだったの。私こそごめんね』って。有希恵が部屋に入ろうと千穂に背を向けたとき、千穂が僕を見てニヤッと笑ったんです」

 昨夜のことは夢ではなかったと繁雄さんは思った。そしてとんでもないことが起こったのだと認識した。その日は結局、繁雄さんは妻と行為をおこなうことができなかったという。男性機能は繊細なのだ。

「その後、有希恵が出張のたびに千穂が誘惑してくるんです。ダメだというと『ママにばらす』と。困って誘いに乗ってしまったら、また脅される。その繰り返しです。いけないことをしているとわかっている。でも千穂は確かに魅力的なんです……」

 罪悪感とスリルの間を行ったり来たりしている自分を嫌悪してもいる。それなのに千穂さんの誘惑を断れない。有希恵さんに知られるのだけは避けたい。

「千穂に、留学費用は僕が出すと言ったら『私が邪魔になったの?』と泣かれました。そうじゃないけど、きみの夢を実現させる手伝いをしたいんだと言うと、千穂は『そうね、いつまでもこのままではいられないものね』って。納得してくれたんだとホッとしたんです」

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