ソフトバンク、超大型補強も…常勝軍団の復活が“前途多難”と言えるこれだけの理由

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野手の世代交代も不安材料

 昨年オフにFAで獲得した又吉克樹は、試合中の怪我という不運はあったが、不本意なシーズンに終わっている。長年打線を牽引してきたデスパイネとグラシアルが退団し、エースの千賀滉大もメジャーに移籍したことから、開幕までまた大物外国人選手を補強する可能性が高い一方で、過剰な期待をかけるのはやはり危険だろう。

 それ以上に気がかりなのが一向に進まない野手の世代交代だ。今季、100試合以上に出場した野手は7人いるが、そのうち5人が30歳以上となっている。

 過去5年間で、初めて規定打席に到達した選手は栗原陵矢のみ。その栗原もプレー中の怪我で長期離脱となり、まだ復帰の見通しは立っていない。それ以外の若手で、レギュラー獲得の兆しがあるのは三森大貴と柳町達くらいしかおらず、柳町は、同じ外野手である近藤のFA移籍で、来季は苦しい立場となることが予想される。

 ドラフト1位で指名された投手が苦しんでいることを指摘されることが多いが、野手についても完全なレギュラーになったのは、柳田悠岐(2010年2位)と甲斐拓也(同年育成6位)が最後である。“勝ち続けたチーム”を作り変えることがいかに難しいかがよく分かるだろう。

 そのために育成選手を多く獲得し、4軍制を導入しているのだから備えはできているという声もありそうだが、よく見てみると10年に指名した千賀、甲斐、牧原大成以降はそこまで多くの選手が成功しているわけではない。

 現在一軍の戦力となっている選手は、石川柊太や周東佑京、大関友久がいるが、いずれも大学卒であり、千賀や甲斐ほどのスケールは備えていない。

二軍でレギュラーをつかむのも簡単ではない

 この点について他球団の編成担当は、育成選手を多く抱えることの難しさがあると話す。

「やはり難しいのはモチベーションじゃないですかね。どれだけ多くの育成選手がいても、支配下になれるのは70人だけですから、相当な狭き門です。千賀や甲斐が入団した頃は、育成選手が少なかったので、少し使える見込みがあれば支配下に上がることができましたが、今のホークスは、二軍でレギュラーをつかむのも簡単ではないですからね。それでもある程度力のある大学卒の選手なら現実的な目標として支配下を目指せるかもしれませんが、育成で指名されるような高校生だとプロとのレベル差に驚いて、競争相手の多さもあって上を目指せなくなるケースも多いと思います。そうなると千賀や甲斐みたいな選手は、なかなか出てこないかもしれませんね」

 育成選手は年俸などの条件が低いこともあって、ソフトバンクは退団後の就職を斡旋しているというが、ある球団関係者は、その“セーフティーネット”があることで、選手の向上心を奪う要因になってしまうこともあるのではないかと話していた。

 また、前出の編成担当者は、4軍制にして育成選手を多く抱えることで、また別の懸念点が出てくるのではないかと話す。

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