この年末も3番組で…民放テレビ局が「警察密着番組」を作りたがる理由

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 年末は特番ラッシュ。その中にはすっかり定番化した民放の「警察密着特番」が2本ある。なぜ、民放は「警察密着特番」が大好きなのだろう。また、いつ始まり、どうして増えたのか。

タイトルが似ているのが「警察密着特番」の特徴

 この年末の「警察密着特番」はテレビ朝日「列島警察捜査網 THE追跡2022 冬の事件簿」(24日午後7時から約2時間)とTBS「最前線!密着警察24時 年末特別警戒SP」(26日午後6時から約5時間)とテレビ東京「激録・警察密着24時!!薬物・詐欺・少年犯罪・ヘリ追跡劇…年末緊急SP」(29日午後8時から約3時間)の3本。放送時間もタイトルもやたら長いのが民放の「警察密着特番」に共通する特徴の1つである。

 フジテレビと日本テレビは一足早く放送した。フジ「逮捕の瞬間!警察24時 熱き警察官のお仕事SP」(11月27日)と日テレ「緊急出動!警察特捜2022 凶悪逃走犯を追え」(12月9日)である。

 タイトルが似ているのも特徴である。感嘆符(!)を使いたがるところも一緒。だから、みんな勇ましくなる。

 どうして、民放は「警察密着特番」を好むのか? 理由として、まずコストパフォーマンスの良さが挙げられる。

 密着は長期におよぶが、取材するのはディレクターで、タレントがリポーター役を務めるわけではないから、人件費が抑えられる。

 また取材対象の警察官たちには謝礼が一切ない。警察官たちは公務員だから、対価を受け取るわけにはいかない。それでも「職務質問の神様」などと紹介してくれるのだから、警察官たちだって悪い気はしないだろう。

 そもそも警察官たちにとって「警察密着特番」に出るのは仕事。上長の業務命令に従って取材を受けている。警察側としては、イメージアップが図れるし、採用活動にも役立つはずだから、特番に協力するメリットはある。

コア視聴率が獲れる

 一方、民放としては確実に一定水準以上の視聴率が得られることも魅力だ。例えば12月9日の午後7時から2時間にわたって放送された日テレ版「警察密着特番」の場合、世帯9.4%、個人5.8%とまずまずだった。また、民放が重視するコア視聴率(個人のうち13~49歳分)は4.4%と高く、この放送時間帯でトップだった。

 ほぼ同じ放送時間帯にはテレ朝の人気番組「ザワつく!金曜日」の拡大版(午後6時50分~同8時半)があったものの、こちらのコア視聴率は2.6%。日テレの特番が大幅に上まわった。

 ほかの「警察密着特番」もコア視聴率が高い。昨年12月26日の午後6時半から同9時まで放送されたテレ東版特番のコア視聴率は2.2%。NHK大河ドラマ「青天を衝け」最終回の1.7%を超えた。40代までのほうが警察への関心が高いらしい。

 コストパフォーマンスが良く、コア視聴率も高いから、在京民放キー局の5局が揃って「警察密着特番」をやっている。5局全てがやる特番は珍しい。「バス旅」特番だって民放全局ではやっていない。

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