「岸前防衛相が早期に議員辞職、補欠選挙の可能性あり」報道の読み方
神経系の疾患ではないか
岸信夫前防衛相(首相補佐官)は12月11日、次期衆院選に立候補しないことを表明した。これを受けて後援会の最高幹部は、「早期に議員辞職し、補欠選挙が実施される可能性もある」と踏み込んだことが波紋を広げている。一連の報道の読み方について政治部記者に解説してもらおう。
【写真】今年2月に週刊新潮が撮影した、杖をついて歩く岸防衛相(当時)。現在は、これより“病状”は悪化している
「岸氏は防衛相在任中、杖1本で歩いていたのですが、それが2本になり、辞任直前には常に車イスで移動するようになっていました。神経系の疾患ではないかと噂されてきましたね」
と、政治部デスク。
「防衛相として答弁はソツなくこなしていたのですが、身体への負担が大きいということで留任することなく、代わって首相補佐官を務めていました。”今期限りで引退”は既定路線で、長男で元フジテレビ記者の岸信千世氏を後継者とすることも織り込み済みだったのです」(同)
予想外だったのは、後援会連合会長の柏原伸二氏が岸氏について、「早期に議員辞職し、補欠選挙が実施される可能性もある」と述べたことだった。
狙いはどこに?
その狙いはどこにあるのだろうか。
「1票の格差是正のため、小選挙区が『10増10減』されるあおりを受け、次期衆院選で山口県の定数は1減となります。山口県では、高村正大氏の1区、岸氏の2区、林芳正外相の3区、そして安倍晋三元首相の死去で空席となっている4区が新たに3つの区に再編されることになります」(同)
ただ、補選は現行の区割りのまま行われることになっており、実際、安倍氏の死去に伴う補選は、来年4月23日に行われる。仮に岸氏が来年3月15日までに議員辞職すれば、同日に補選が行われることにもなる。
「つまり、後援会の連合会長は、”ダブル補選”の可能性に言及したわけです。自民党に限らずですが、一事が万事、現職が優先されるのは間違いなく、信千世氏が早い段階でバッジをつけておいた方が何よりも得策だという考え方があるのではと見られています」(同)
もし岸氏が議員辞職せずに任期を全うしたうえで信千世氏に地盤を譲り、次期衆院選を迎えたとしよう。
「その場合には、3人の現職に1人の新人が3つの区にひしめく構図が濃厚となります。保守分裂選挙を回避するためには、誰か少なくとも1人が小選挙区への出馬を断念しなければなりません」(同)
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