いま最も嫌われるのは「人を傷つける笑い」ではなく「愛想笑いの強要」? くりぃむ上田に石橋貴明…大御所芸人が「老害」化した本当の理由

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芸人たちも試行錯誤……最も嫌われているのは「人を傷つけない笑い」ではなく「愛想笑い」?

 今年のM-1は、悪口をぶちまけまくったウエストランドが優勝をかっさらった。「ネタの分析とかしてくるうぜーお笑いファン、あーサクマさーん!」と、後半では視聴者も業界関係者もぶった切り。でもうすうすみんなが思ってることを下から突き上げるように叫ぶ様は、視聴者はもちろん芸人たちからも痛快で爽快に映ったようだ。

 近年のお笑いの傾向として語られる、「人を傷つけない笑い」主義。大御所MCたちがキツい物言いをするたび、たびたび「老害」と批判される流れとも重なっている。一方で、お行儀の良さを求められる空気に、息苦しさを覚える視聴者や芸人も多かったはずだ。

「人を傷つける笑い」より、今もっとも嫌われるのは、「愛想笑い」を強いる画なのではないだろうか。大御所が暴れて周りが気を使って笑う、そうした権力構造を見せられることにものすごい反発がある。「老害」批判は彼らの振る舞いそのものではなく、権力に無自覚で自己完結スキルを持とうとしない姿勢に、いら立っている人の多さを示しているのだろう。

 M-1でも新たに審査員に加入した山田邦子さんに、かみつくお笑いファンは少なからずいたようだ。「芸人の人生を左右する場なのに、点数の付け方がわかっていない」というコメントもあった。全くもって審査員も大変だ。邦ちゃんは明るく返していたが、愛想笑いを浮かべざるを得ないのは、実は大御所側かもしれない。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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