いま最も嫌われるのは「人を傷つける笑い」ではなく「愛想笑いの強要」? くりぃむ上田に石橋貴明…大御所芸人が「老害」化した本当の理由

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「クズ芸人にはあるけど大御所タレントにはない」、M-1優勝のウエストランドのネタ的に言うならば「時代感覚」となるのだろうか。強引な自己主張を面白がられるクズ芸人ブームの傍ら、大御所タレントたちの振る舞いはやたら老害認定されることが増えてきた。

 例えば、11月の「ワイドナショー」で西川貴教さんのトーク中に割って入った武田鉄矢さん。話の流れをぶったぎり、突然海外の物価について尋ねる様子は物議を醸した。先日はスポーツニュースでのくりぃむしちゅー・上田さんによる、サッカー日本代表・久保建英選手へのイジリが炎上ニュースに。みちょぱさんの結婚発表を受けて、「ずっとみちょぱ狙ってた」と語った石橋貴明さんに対しても、セクハラ発言と眉をひそめる向きもある。

 常識とはズレている持論を、堂々と押し通す。それはお笑いのひとつのフォーマットだったはずだ。自覚的にエンターテイメントにしたのは、近年の「クズ芸人」ブームにも見られる。

 例えばギャンブルによる借金を重ねても堂々としている空気階段・鈴木もぐらさんや岡野陽一さん。相席スタートの山添さんは小憎らしいほどの口達者だが、今や朝の情報番組でも大暴れ。ヒコロヒーさんや納言・薄幸さんといった女性芸人も、借金や酒好きエピソードには事欠かない。好感度などハナから捨てているかのような、クロちゃんやナダルさんらのモンスター具合は、いっそすがすがしいほどだ。

 少し前は、平成ノブシコブシの吉村さんのギャンブル好きや、千鳥・大悟さんの借金や女グセの悪さはよくイジられていた。しかし彼らは「破天荒」というくくりで、クズというより器がデカいというイメージにつながっている。共演者からの信頼も厚く、女性ファンも多い。それはMCとして立っていても、どこか下っ端感が抜けないというか、威張らない空気があるからだろう。アンジャッシュの渡部さんや元雨上がり決死隊の宮迫さんらが女性やお金にまつわるスキャンダルを起こした時、「クズ芸人」ではなく本当にクズ認定されたのは、「威張っている」「調子に乗っている」という印象が根強かったことも影響しているように思われる。

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