メッシが羽織った「黒い服」の重大な意味 一着40万円…賛否の声に見る“多様性のせめぎ合い”
熱戦が続いたカタールワールドカップは、歴史に残る決勝戦を制したアルゼンチンがディエゴ・マラドーナを擁したメキシコ大会以来となる36年ぶりの世界制覇を達成した。現役最高のスーパースターであるリオネル・メッシが悲願の優勝トロフィーを掲げた姿は、日本のサッカーファンの中でも感動した人は多いだろう。そんな優勝の瞬間、メッシが羽織った黒いメッシュ状の上着にも注目が集まった。【徳重龍徳/ライター】
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上着は優勝トロフィーを渡される前、カタールのタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長によってメッシにかけられたものだ。
「あれはビシュトといいます。中東湾岸諸国の伝統的な衣装で、外交や公式の場、婚礼、入学などで着られるものです。そのイベントや行事の主賓や主役にあたる人が身に着けるもので、プロトコル(作法)も存在しており、中東の王族たちは公式の場で身に着けています」
こう教えてくれたのは、鷹鳥屋明さん。会社員として日本と中東を行き来して働きながら、王族と親交を深め「中東で一番有名な日本人」と呼ばれる人物だ。
カタール首長がメッシにビシュトを贈った理由については次のように解説する。
「メッシ選手を讃える意味や、カタールでワールドカップが開催されたことを示すためなど、さまざまな意味合いが混ざっていると思います。ビシュトを着せたことが計画的なものかは正式な声明が出ていませんが、サイズがメッシ選手用に整えられていたので、おそらく計画されていたと思われます。メッシ選手がビシュトを着ていることに対して、湾岸アラブ、中東の方々は誇らしく感じており、カタール、そして中東でワールドカップを行った証になったと盛り上がっています」(鷹鳥屋さん)
鷹鳥屋さんによれば、メッシ選手がもらったビシュトは「Bisht Al Salim」というカタールのブランドで「価格はおそらく1万カタール・リヤル(約40万円)」という。
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