「石原裕次郎」「勝新太郎」「梅宮アンナ」との親交から、伝説の“丸刈り”事件まで… 芸能リポーター「前田忠明」の知られざる芸能界“血風録”
“頭を丸めて”テレビ出演
ただし、時に事務所とトラブルになることも。
「90年代前半、前田さんが番組のなかで事務所の意に反する内容を報じたとして、大手芸能プロダクションが激怒。結局、前田さんが丸坊主になることでプロダクション側が矛を収めたことがありました。頭を丸めた前田さんの姿がテレビに映ったことで事務所サイドも納得したのは、それだけ前田さんの存在が大きかったということ。実際、90年代の芸能人の記者会見は前田さんが仕切るケースも珍しくありませんでした」(同)
賛否はあっても、自身の発言や報道に対して“ひとりでケジメをつけた”姿勢は、前田氏をはじめとした当時の芸能リポーターが持っていた自負や矜持を表わしていたという。
川内氏もこう語る。
「芸能事務所も一目置く、数少ないリポーターのひとりであったのは間違いありません。00年代に入って以降は“コンプライアンス”といった言葉がテレビ業界にも浸透し始め、同時にテレビ局と芸能事務所との関係も“win-win”を重視するものへと変わっていきました。それとともに芸能リポーターという職業も役割を終えたように思います。いまはただ、“前田さん、本当にお疲れさまでした”と言いたい」(川内氏)
「時代の徒花」とも評されたが、前田氏らの活躍は時代の要請に応えた“必然”でもあった。