元阪神・遠山奨志、「投手→外野手→投手」転向を重ねて…松井キラーで復活した“異色の野球人”

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“リストラの星”

 その00年には、中日・星野仙一監督の推薦で、プロ15年目にしてオールスター初出場をはたし、“リストラの星”とたたえられた。

 第2戦の3回2死、遠山は打者・イチローの場面でマウンドに上がった。ロッテ時代の94年にイチローを4打数無安打1三振1併殺打に抑えていたが、死球を避けるためにシュートを封印したこの日は、カウント1-2からカーブをうまく左前に運ばれた。

 遠山は「同じ球(カーブ)を続けたら打たれるね。バットコントロールはさすがだよ」と脱帽しつつも、次打者・松井稼頭央を三飛に打ち取り、4回も3者凡退と、最初で最後の夢舞台でも、愛称“遠山の金さん”を地で行く快投を演じている。

 02年オフに戦力外通告を受けて引退したが、「テストで合格してからのタイガースでの5年間は、本当に楽しかったです」(「日本プロ野球トレード大鑑2004」ベースボールマガジン社)とやり切った気持ちでユニホームを脱いだ。

 現在は、大阪・浪速高監督として、自らがはたせなかった甲子園出場を目指している。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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