「カスハラ」の7割以上が男性だった!50代以上で顕著に 昭和・平成の“金銭要求系”のクレーマーとの一番の違いは?
「最初から謝ってくれたら…」
これは従来のクレーマー対策では「一番やってはいけない」とされ、「まずは相手の気持ちに寄り添う」とか「担当者や場所を変えてクールダウンさせる」が「正解」とされてきた。しかし、それを「正義の怒り」で自分を見失ったカスハラ客にやっても逆効果で、「なぜ素直に謝らない?」「話をごまかすな!」とかえって激高させて、暴言や説教の時間を長引かせたり最悪、暴力を引き起こしてしまう。対応にあたる店員や従業員の精神的負担、安全を考慮すれば、さっさと頭を下げて相手の承認欲求を満たしてお引き取り願う、という「負けるが勝ち」の方が得策なのだ。
実際、この外食企業のケースもそうで、筆者のアドバイスに基づいて店長が全面的に非を認めて謝罪をしたところすぐに和解をした。男性は人が変わったように温和な対応となり、「最初から謝ってくれたらこんなことにならなかったのに」とバツが悪そうにしていたという。自分の「正義」が認められたカスハラ客は、つき物が落ちたように穏やかになるのだ。
「負けるが勝ち」
このような話を聞くと、「確かに、謝ればその場は収まるかもしれないが、調子に乗ってさらに金品を要求してくるのではないか」とか「味をしめて事あるごとに文句を言いにくるのでは」と心配になるだろう。しかし、悪質クレーマーのように「恐喝」をしてきたら警察などに相談すればいいので、かえって対応はやりやすい。
また、ストーカー化した場合も、「負けるが勝ち」で撃退が可能だ。
ある食品製造販売会社から「悪質なカスハラ客につきまとわれている」と相談を受けたことがある。相手は50代の男性客で、きっかけは店舗で購入した菓子がパンフレットなどの見本写真と違っていたため「仕事の取引先への手土産にして大変な恥をかいた」と怒鳴り込んできたことだった。この時は真摯に謝罪を繰り返すことで収まったが、それを機に男性はちょこちょこやってきては「接客態度が悪い」「味が前よりも落ちた」など好き勝手な悪態をつくようになり、ついには「マスコミに知り合いがいるので、この店のひどい対応を取材してもらう」などと脅迫めいたことを言い始めた。
[5/6ページ]