“暴動”も起きた韓国のマンションバブル崩壊 国民の借金体質が金融・通貨危機を招く
投機に失敗、生活保護を受ける若者
韓国メディアは一斉に「利上げで生活難に陥った人々」の特集を組んでいます。韓国経済新聞は11月3日から「大韓民国 借金レポート」(韓国語版)を3回連載しました。
1回目は株や仮想通貨、不動産に投資した結果、大損した20―30歳代の人たちの話です。不動産価格が急騰するのを見て「このままでは一生、家を持てない」と焦り、カネを借りて投機に走った若者たち。この世代で生活保護を受ける人の数がこの5年間で2倍に増えたとのエピソードも紹介されています。
2回目は40―50歳代の苦闘話です。持ち家の借金を返している最中の世代で財産の90%が不動産といういびつな資産構成です。この世代の10人に3人が多重債務者であるとの事実も明かされます。彼らこそが不動産の暴落の衝撃をもろに食ったのです。
3回目は60歳以上の自己破産が増えている、という話から始まります。韓国では50歳代で会社を辞め、食堂など自営業を始める人が多い。しかし、最近の資金事情の悪化で利払いが増えたうえ、高金利の余波で消費が委縮し売り上げも減ったからだ、と韓国経済新聞は説明します。
焦点は金融機関の経営不安
韓国MBCはこれまでに2回にわたり「バブル崩壊」という番組を放送しました。11月15日の「1部」では、自分のマンション価格暴落に困惑する人々や、利上げで増えた借金を返すためにビル清掃のアルバイトを始めた主婦を紹介しました。
12月13日の「2部」では専門家が「チョンセは資産ではなく負債である。これを含めれば、韓国のGDP対比の家計債務は153・9%に跳ね上がる」と指摘しました。異様な借金経済で回ってきた韓国が今、崖っぷちに立っていると警告したのです。
別の専門家は「利子はタダのようなものだ、と思い込んだのが悲劇の原因だ」と、借金して投機してきた韓国人を諭しました。
韓国経済新聞もMBCも「利上げに苦しめられる人々」という視点で特集を組みました。ただ、金融専門家は別の恐怖を感じているでしょう。建設会社に加え、個人の不良債権問題が膨れ上がったら、金融機関が破綻する――との危機感です。
韓国の家計債務の大きさは日本人の想像を絶する規模です。そして「借金が返せない人」が増えています。韓国メディアも今後、「金融システム不安」に焦点を当ててくると思われます。
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