“暴動”も起きた韓国のマンションバブル崩壊 国民の借金体質が金融・通貨危機を招く
韓国で不動産価格が急落する。1990年代初めの日本と同様、生産年齢人口の減少に利上げが追い打ちをかけた。バブル崩壊が金融システム不安、ひいては通貨危機を呼ぶ可能性がある。韓国観察者の鈴置高史氏が解説する。
「リーマン」以上の暴落
鈴置:韓国で不動産の指標となるマンション価格の下落が止まりません。8月29日掲載の「不動産バブルがはじけた韓国 通貨売りと連動、複合危機に」で「つるべ落とし」と表現しましたが、当時は前週比でマイナス0・1%台のペースでした。
それが12月第2週には全国でマイナス0・64%、首都圏になるとマイナス0・79%、ソウルでマイナス0・65%と下げ幅が拡大しています。いずれも政府機関である韓国不動産院のデータです。
「マイナス1%にもならない」と思うかもしれませんが、これはたった1週間での値下がり率なのです。マイナス0・60%が52週間――1年間続けば、36・49%下落します。下げ幅自体が拡大中なので、それで終わるとは限りません。ここまで来ると、疑いようもない「バブル崩壊」です。
前半の下げ幅は小さかった2022年でも、年初から12月第2週までに、それぞれ5・83%、7・44%、5・83%下げています。
国土交通部が12月24日に発表した2023年の公示地価も全国平均で前年比5・92%下がりました。2022年の不動産価格急落を反映したもので、前年比で下げたのは1・42%減だった2009年以来です。「リーマンショック」当時と比べても激しい地価の下落が起きたのです。
業界団体が設立した住宅産業研究院は2023年のマンション価格は全国で8・5%、首都圏では13・0%、ソウルで9・5%、前年と比べ下がると予測しました。12月12日の発表です。
2022年の実績見込みはそれぞれ13・2%減、18・4%減、16・2%減ですから、2年間で20-30%下がるとの見通しです。
[1/6ページ]