娘を迎えに行って目撃した妻の裏切り…44歳夫が始めた“禁断の復讐”で今も悩み続けるワケ
怜子さんの闇
怜子さんは母親からかなり激しい暴力を受けて育ったという。子どもを産む前は母を恨んだこともあったが、今となると母の気持ちがよくわかる。言ってもわからないときは有無を言わせないことも大事だと力説したのだ。
「後ろめたくないならオレの前でやってみろよと思わず、声を荒げてしまいました。実はいけないとわかっているから僕の目を盗んで、しかも内ももなんかをつねっているわけです。暴力をふるわれた子がどんな思いをするか、きみがいちばんわかっているはずじゃないのかと言ったら、妻はワッと泣き出しました。妻が泣くのを初めて見ましたね」
その後、怜子さんは「私は親には向いていない。離婚して」と言い出した。離婚する気などないと一緒にカウンセリングを受けた。自分自身、人との関わりが上手ではないと思っていたが、あんなに明るくて人気者の怜子さんがこんな闇を抱えていたとわかって、彼は少なからずショックを受けたという。だがそのショックを表に出すことなく、彼は怜子さんを支え続けた。
「彼女が母親に対して抱えていた恨みは相当なものだったようです。でも2年ほどかけて少しずつ考え方が変わり、暴力の連鎖をやめたいと心から思うようになったというので、僕もホッとしていたんです」
怜子さんが娘を抱きしめてかわいがるシーンもよく見かけるようになった。何かあってもカッとせず、娘と目線を合わせて言い聞かせることも多くなった。娘が小学校に上がるとき、「最後に」と一緒に入浴したが、体に変化はなかった。「もしママにつねられたりしたら、内緒でパパに言うんだよ」と約束させた。
その後は平穏な日々が続いた。妻は相変わらず仕事が忙しいようで出張や残業も多かったから、ふたりは近所に住む何軒かのママ友一家に助けてもらいながらがんばっていた。
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