天才ジョッキー「福永祐一」来年2月に引退 未勝利の「有馬記念」を制覇できるか

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 今年も残すところあと僅か。こと競馬界においては、暮れのグランプリレース、「有馬記念」(12月25日(日)、中山競馬場芝2500メートル)が話題にのぼる頃である。今年の有馬で注目といえば、来年2月に騎手を引退し、調教師になることを発表した福永祐一騎手(46)。実は福永騎手、意外なことに、まだ有馬記念を制していないというのだ。

 福永騎手の引退が発表されたのは、12月8日のこと。競馬記者がいう。

「かねて調教師をやりたいと公言していた福永騎手は今年、J R Aの調教師試験を受験していて、この日がその合格発表の日でした。見事合格したため、騎手を引退することになったというわけです」

 福永騎手は、1996年に騎手デビュー。父親が、やはり天才騎手と謳われた福永洋一氏とあって注目を浴びたが、そのプレッシャーを跳ね除けるように初日で2連勝をマーク。デビュー年に53勝を挙げ、年間最多勝利新人騎手となった。その後も破竹の勢いで勝ち鞍を重ね、日本ダービー3勝を含めて、G134勝、通算2615勝を挙げている。

「引退の記者会見で福永騎手は、『騎手は最後のバトンを受け取る立場で、重要な役割だが、もっと馬一頭に深く関わりたい』とコメントしていました。調教師の定年は70歳ですから、24年の調教師人生が始まるわけです。これから、どんな馬を競馬場に送り出してくるのか、楽しみですね」

 本命党の競馬ファンが言う。

「私にとってG1といえば福永です。馬券を検討する際には、まず福永の馬をチェックしますよ。安定した軸のような存在でしたね」

 そんな福永ジョッキーだが、引退発表を機に、意外なデータに注目が集まったのだ。

「実は福永、これまで有馬記念を制したことがなかったのです。有馬記念は、G1の中でも格が高いとされる『八大競走』の一つ。福永ジョッキーは有馬以外の7つ(桜花賞、皐月賞、オークス、ダービー、菊花賞、天皇賞・春、天皇賞・秋)を制覇しているのに。あの武豊さんやルメール騎手は八大競走を全て制覇しているので、当然福永も、と思っていましたが、意外でしたね。でも言われてみれば、何度も裏切られた記憶が蘇ってきました」

 最後のチャンスとなる有馬記念には、今年の菊花賞2着馬・ボルドグフーシュ(3歳牡馬)に騎乗予定だ。

先の競馬記者が言う。

「調教にも福永騎手が跨り、『馬の状態は良さそう』とコメントしていました。ただ、3歳馬で、オープンクラスの古馬との対戦は初となりますから、どこまで戦えるかは未知数です。それにもちろん、タイトルホルダーはじめ、他の有力馬も仕上げて臨むレースなので、そう簡単ではないでしょう」

とした上で、

「有馬記念は、その2500メートルという距離やコース形態から、圧倒的に外枠が不利なレースなのです。ボルドグフーシュが勝つためには、まず、内枠を引くことが肝要です。そうすれば、あとは福永騎手の絶妙な手綱捌きで距離ロスなく道中を立ち回り、最後の直線で得意の末脚を爆発させることができれば、逃げるタイトルホルダーを、捉えることができるかもしれません」

 今年最後の運試し、福永ジョッキーの『有終の美』を信じるか、それとも――。

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