彗星の如く現れた「エルフ」「ぱーてぃーちゃん」 ギャル芸人ブームの火付け役となるか

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無軌道なおバカではない「ぱーてぃーちゃん」

 ぱーてぃーちゃんは、男性のすがちゃん最高No.1、女性の信子と金子きょんちぃの3人から成る男女トリオ。信子ときょんちぃのギャルコンビにすがちゃんが加わる形で、2021年4月に結成された。

 彼らの漫才では、ギャル2人がひたすら羽目を外して暴走するのに対して、ホスト風ファッションのすがちゃんがキザなしゃべり方でツッコミをいれていく。3人揃って両手で「イヴ・サンローラン」のロゴを真似た決めポーズを作ることもある。

 彼らは2022年の元日特番「ぐるナイ!おもしろ荘」に出演して脚光を浴びた。有吉弘行からは「令和の安田大サーカス」というお墨付きをもらった。

 エルフの荒川の場合、キャラクターの完成度が高いので、ネタもトークも安心して見ていられるところがある。一方、ぱーてぃーちゃんの信子ときょんちぃは、良くも悪くも荒削りな素人っぽさを売りにしているようなところがある。そこがやや不安定で危なっかしいが、だからこそ新しいとも言える。

 2人のギャルの自由気ままな暴走をすがちゃんが正確無比なツッコミで抑え込んで笑いを生み出していくところが見事である。

 ただ、ぱーてぃーちゃんのギャル2人はただの無軌道なおバカキャラではない。9月16日深夜放送の「千原ジュニアの座王」(関西テレビ)では、ぱーてぃーちゃんの3人がほかの芸人と共に即興の大喜利バトルに参戦。その結果、きょんちぃが見事に優勝を果たした。きょんちぃは鋭い回答を連発して爆笑をさらっていたし、途中で敗退した信子も健闘していた。彼女たちがただのギャルではなく、立派な「ギャル芸人」であることが証明された。

 芸人以外のギャルタレントが多いことからもわかるように、もともとギャルとテレビは親和性が高いものである。すでに多くのバラエティ番組に出演しているこの2組が火付け役となって、空前のギャル芸人ブームが訪れるかもしれない。

ラリー遠田
1979年、愛知県名古屋市生まれ。東京大学文学部卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、作家・ライター、お笑い評論家に。テレビ・お笑いに関する取材、執筆、イベント主催など多岐にわたる活動を行っている。お笑いムック『コメ旬』(キネマ旬報社)の編集長を務めた。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり 〈ポスト平成〉のテレビバラエティ論』(イースト新書)、『逆襲する山里亮太』(双葉社)『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)など著書多数。

デイリー新潮編集部

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