【ドイツ】クーデター騒動の背後に100万人のウクライナ難民 集合住宅“放火事件”も
欧州域内の摩擦
12月8日で発足から1年を迎えたドイツのショルツ政権は支持率の低迷に直面している。最新の世論調査では「政権運営に不満」との回答が68%となり、発足以降で最悪の水準に達している。
政権与党のドイツ社会民主党と緑の党の支持率がそれぞれ18%であるのに対し、最大野党のキリスト教民主同盟は30%、AfDの支持率は15%だ。
求心力の低下を回避し、国内の政情不安をこれ以上悪化させないためには、ショルツ政権は自国優先の政策を遂行するしかない。だが、このことが欧州域内の摩擦を生んでいる。
ドイツ政府は9月に発表した総額2000億ユーロ(約28兆6000億円)を超えるエネルギー高騰対策にフランスやイタリアなどから批判が相次いでいる。「政府資金を用いて市場への介入を行わない」とする1952年以来のEU域内市場のルールに反している可能性が高いからだ。
メルケル政権時代に緊密だったフランスとの関係にもすきま風が吹いている。
10月に予定されていた閣僚を交えた合同会議がドイツ側の意向で急遽延期された。その代わりに実施された独仏首脳会談も記者会見が見送られるという異例の展開となった。
高騰する天然ガス価格の上限制導入などのエネルギー政策や防衛政策を巡り意見の隔たりが埋まらないのが主な要因だ。
「11月のショルツ首相の訪中にマクロン大統領が同行を申し出たが、ドイツが拒否した」という噂がまことしやかに流れている。
ドイツの「傍若無人」の振る舞いにフランスは猛反発しており、独仏関係は前例のない緊張関係にあるとの懸念が生じている(12月1日付日本経済新聞)。
今や域内の「一強」となったドイツが周辺国の批判に耳を傾けなければ、欧州の結束が乱れるのは火を見るより明らかだ。EU内では長らくドイツ批判はタブーだったが、今後ドイツに対する積年の恨みが噴出することが危惧されている。
内向き化するドイツのせいでEUは最大の危機を迎えてしまうのではないだろうか。
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